【教養】アメリカで話題沸騰。新しい経済理論「MMT」とは何か

2019/6/8
新しい経済理論が今、米国を中心に話題をさらっている。
その名も「MMT」。Modern Monetary Theoryの略で、日本語では「現代貨幣理論」と訳される。
「自国通貨を持つ国は、政府が通貨を無限に発行できる。そのため、財政赤字が大きくなっても問題はない」
MMTは、そんな考えに基づく理論だ。
注目されたきっかけは、女性として史上最年少の29歳で米下院議員となったアレクサンドリア・オカシオコルテス議員が今年1月、MMT支持を表明したことにある。
彼女はTwitterやインスタグラムなどのSNSを駆使し、Twitterのフォロワーは434万人。その影響力の高さもあり、MMTの存在が瞬く間に広まったのだ。
アレクサンドリア・オカシオコルテス議員(写真:Bloomberg via Getty Images)
今では一部の左派に積極的に受け入れられる他、次期大統領選の有力候補である民主党のバーニー・サンダース議員もMMT支持を表明。自身の顧問にMMT推進者を迎え、次回の予備選に備えている。
一方で、マジョリティーである中道派と右派は、「MMTなどあり得ない」と首を横に振る。
いずれにしても、政治、経済学、そしてインターネットが複雑に絡み合い、米国では2020年の大統領選が終わるまで、MMTを巡る狂想曲が止みそうにない。
そもそもMMTとは何なのか。これまでの経済理論との比較を中心に論じていきたい。

なぜMMTは世間を騒がせるのか

MMTは、良くも悪くも人々の心を鷲掴みにしてしまった。
というのも、「国の借金」などいくら増えても気にしなくていい、という理論だからだ。