【直言】渋沢栄一「論語と算盤」で読む、令和の“顔”になる秘密

2019/5/31
2024年度から登場する新1万円札の「顔」になった渋沢栄一は、あたかも花咲か爺さんのように大企業設立の種をまき、日本経済の土台づくりという大仕事をやってのけた。
晩年の著書『論語と算盤』には、タンス預金が50兆円にふくらみ、お金が全く流れない現代日本が改めて学ぶべき教訓が含まれている。
キャッシュレス時代における新紙幣の意味、『論語と算盤』の令和的意義はどこにあるのか。
渋沢栄一の玄孫(孫の孫)にあたる渋澤健・コモンズ投信会長に聞いた。
渋澤健(しぶさわ・けん)コモンズ投信会長
1961年生まれ。渋沢栄一の玄孫(5代目にあたる)。外資系金融機関を経て、2001年に独立。07年にコモンズ株式会社(現・コモンズ投信)を創業し、代表取締役に就任。08年より現職。
コモンズ投信は「長期・少額」の積立投資に特化し、業界トップクラスの運用実績を誇る。

「経済人」のお札は珍しい

経済人がお札の「顔」になるのは、世界的に見ても珍しい。ある方に調べていただいたところ、イギリスの50ポンド紙幣しかないらしいです。
50ポンド紙幣の表面はエリザベス女王で、裏面がジェームズ・ワットとマシュー・ボルトン(注:ワットは蒸気機関の発明で産業革命の扉を開け、実業家のボルトンが支援したという歴史がある)。
渋沢栄一が「日本資本主義の父」なら、ボルトンはさしずめ「イギリス資本主義の父」といったところでしょうか。
あえて栄一を起用したところに、麻生さん(麻生太郎財務相)の「メッセージ」が読み取れると思うんです。
それは、新5000円札、新1000円札と合わせると、より明確なものになる。