(ブルームバーグ): 米グーグルの親会社アルファベットの1-3月(第1四半期)決算では、売上高がアナリスト予想を下回った。これを受け、広告主らが他社に流れつつあるとの懸念が市場に広がり、時間外取引でアルファベット株は一時6.7%下落した。

アルファベットの29日発表によると、パートナーサイトへの支払い分を除いたベースの売上高は295億ドル(約3兆3000億円)。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均は300億4000万ドルだった。

純利益は66億6000万ドル(1株当たり9.50ドル)。前年同期は94億ドル(同13.33ドル)だった。欧州委員会が競争法違反でグーグルに科した17億ドルの制裁金も利益の押し下げ要因となった。制裁金を除いたベースでは、利益は1株当たり11.90ドル。

グーグルの広告収入は15%増と、前年同期(24%増)から伸びが鈍化した。競合のフェイスブックが数多くの不祥事に見舞われながらも1-3月広告収入は26%増加したと先週報告しており、グーグルが大きく見劣りする格好となった。

収入をもたらすクリック数は39%増と、伸びが2016年以来で最も低かった。1クリック当たりの単価は19%減った。

Eマーケターの推定によると、アマゾンのデジタル広告フランチャイズは米国でグーグル、フェイスブックに次いで3位となった。アマゾンの先週の発表によれば、広告が大半を占める「その他」部門の売上高は34%伸びて27億2000万ドルとなった。

グーグルのルース・ポラット最高財務責任者(CFO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、為替レートの変動が成長率低下の一因だと指摘。アマゾン・ドット・コムの広告事業参入について軽く受け流した上で、オンライン以外向けのマーケティング費用がかなりあるため、全てのデジタル広告会社にまだ成長余地が多く残されていると語った。

競争当局からの制裁金を除いたベースの営業利益率は23%。前年同期に不動産関連投資額が急増していたこともあり、設備投資額は大幅に減った。

デジタルマーケティング会社マークルがまとめたデータによると、グーグルの広告収入の伸びはモバイル機器では堅調だったが、デスクトップとタブレットではほとんど見られなかった。このため全体として伸びが鈍化したとマークルのアソシエートディレクター、アンディ・テーラー氏は分析。「これらのデバイスでグーグルがどうすれば成長を押し戻せるかはっきり分からない。残っているのは解決が難しい問題ばかりだ」と指摘した。

グーグルは同時に「ユーチューブ」の過激なコンテンツの削除や、クラウド事業の企業向けセールスチームに多額の投資を行っている。同社はユーチューブとクラウドの売上高を分けて公表していないが、この2つの事業は同社の今後の成長のけん引役となる。クラウド市場ではアマゾンとマイクロソフトがはるかに先行している。クラウド事業を含むグーグルの「その他の売上高」は25%増の54億5000万ドルとなった。

原題:Google Advertising Revenue Growth Slows, Triggering Share Slump(抜粋)

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