ボーイング最新航空機で墜落多発、ANAが導入決定…パイロットの操作性を無視した設計
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元JAL機長で航空評論家の杉江さんの記事.ここに書かれているように,パイロットは失速に入れることはしないし,失速に近づいていることを知らせるStick Shakerが737には装備されているのでそれで充分だったはずです.なのにMCASという,失速になったら機首を下げるという,いわば隠しコマンドを入れてしまった.この失速防止(回避)機能をSAS(Stability Augmentation System,安定増加装置)の機能として入れる,つまりフィードバック制御として入れるのではなく,失速したときにだけ稼働する機能としたのは,SASに入れると操縦のフィーリング(操縦性)が変わってしまい,737の前世代からの移行訓練が難しくなり,また型式認証に時間がかかると考えたからではないかと思う.この点で,ボーイングはエアラインとパイロットに配慮した設計にしようとしたのでしょう.
一方で,MCASが誤動作することをどのように評価していたのか.誤動作した場合はRunaway Stabilizerといわれる状態になり,そうなったとしてもチェックリストの指示に従えばMCASを停止し,手動で回避できるとボーイングは考えたのでしょう.この点に関しては先のパイロットに配慮にした設計とは真逆で,パイロットの力量に頼ったともいえる.チェックリストは間違っていない.しかし実際には,異常飛行する機体を抑え込もうと必死になったパイロットは,その上がったワークロード状態でチェックリストに従うことができなかった.ボーイングは見積もり違いを起こした.
記事にもあるように,迎角センサ関係の事故はボーイング,エアバス,その他で起きていて,とくにAlpha Floor protectionと名付けて,迎角センサから失速回避を自動でおこなっているエアバスは80年代から今回のような事故を起こしている.「ボーイングは駄目だ.エアバスだ」というコメント見ると,普通の人は知らずに一時的な感情に流されるものだ思う.