VCから資金調達すると何が起こるのか?
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注目のコメント
資金調達に関する相談を受けて、調達は見合わせた方が良いとお答えすることがわりとよくあります。
ちょうど昨日もエンジェル出資のご相談をいただきましたが、売上が早期に立つ事業なので、現時点ではなるべく自己資金で走った方がよいとお話ししたところです。
調達することを大前提にしている相談者の方にやめた方がいいなんて話すと、往々にしてむっとされてしまうのですが、当人のためを思うと、そうお伝えするのが誠実なのではないかと思う次第です。
もちろん、資金が大きな推進力になるケースも多々あります。ただ、少なからぬ起業家が「スタートアップは最初に資金調達をするものだ」といった固定観念や先入観に行動が縛られているように思えてなりません。
100%買収のことを「身売り」などと称して毛嫌いするのであれば、部分的な「身売り」であるエクイティ調達についても、慎重を期すべきではないでしょうか。
これは必ずしも立ち上げたばかりのスタートアップに限った話でもありません。確たる資金使途もない中、バリュエーションを上げたいといった動機で調達を企図しているように見受けられるケースもあります。
その手の事例を見るにつけ、経営者のプライドが事業成長の制約や足枷になっているんじゃないかと感じてしまいます。この記事を書いた者です。
NewsPicksにとりあげていただきうれしく思っております。Pickしてくださった方、コメントくださった方、ありがとうございます。
とりわけ朝倉さんがコメントされていること、本当におっしゃるとおりだなと感じます(というより、私自身が、朝倉さんの書かれた「論語と算盤と私」などで大変勉強させていただきました)。
起業家の資金調達に関するリテラシーの向上にこの記事が少しでもお役に立てればとても嬉しいです。会社目線では
期限とリターン目標のあるお金であるVCから調達することは、VCの投資期間内にIPOするか事業を成長させて高valuationで売却するというコミットをすることになります。
VC目線では
高Valuationで出資した後、事業が思うように伸びず頭打ちになったり、株式市況が良好でないと、IPO以外のVCのexit方法が必要になります。第三者の買い手(事業会社・PE・他のVC)に売却できそうであっても、そのValuationは思うようにいかないことがあります
・事業が軌道に乗ったとしてもKPI成長の頭打ちを迎えてしまった会社に対して、上記「買い手」は高Valuationを出しにくい
・また、上記「買い手」はそもそもリスクの取り方(※1)やValuation手法(※2)がVCと異なるため、利益が大きく成長していないと、VCが大幅な簿価割れを起こす可能性があります
(※1-1)VCのリターンの考え方
・VCのリターンは、ポートフォリオ全体の2割程度から獲得、他8割は簿価を回収できない前提(1円も回収できないことも)
・ファンド全体のリターンは、20~30%程度を目指している。つまり、ポートフォリオの2割からのリターンで他8割を補ってファンド全体として上記%を得る計算
・このため「成功した2割」売却時のValuationについて、基本的には簿価の10~30倍以上での回収を求めます
(※1-2)上記「買い手」(ファンドの場合)のリターンの考え方
・程度はファンドによりますが、基本的にほぼ全ての投資先で一定以上のリターンを上げることを想定しています
・何故なら、アーリーステージの会社への投資ではないので、簿価の10倍を回収することは中々ないためです
(※2)利益(EBITDAやフリーキャッシュフロー)を計算のベースにします
付け加えると、
・会社には「事業をじっくり成長」させることが重要ですが、VCには「株式市況が悪化する前にIPO」させたいニーズがあります
・EquityもDebtも資金の出し手が事業の時間軸やリスクテイク度合いを共有し、良きパートナーであることは重要。そしてエクイティ調達(議決権の分与)の場合、リスク許容度が高まる代わりに出資者に「物申す権利」や「拒否権」を与えることになりますので、重要度が増します