【新】マリッサ・メイヤー告白。Google急成長とYahoo!立て直し

2019/5/10
かつて検索といえば、ごちゃごちゃしたポータルサイトの片隅にある小さな四角に、検索タームを入力するものだった。

Googleは違った。真っ白いページの真ん中に、Googleという文字と検索入力スペースがあるだけ。マリッサ・メイヤーは、このシンプルの極致ともいえるインターフェースをデザインして、Googleが世界シェア90%を超える検索エンジンに成長する立役者となった。

1999年にGoogleの20番目の社員として加わり、エンジニア、検索広告、プロダクトマネジメント、マーケティングなど幅広い部門で活躍した後、2012年にYahoo!のCEOに就任。その中核事業がベライゾンに買収されるまで、事業立て直しに奮闘した。

華やかな外見とは裏腹に、徹底的に技術オタクなメイヤーに「Masters of Scale(マスターズ・オブ・スケール)」のリード・ホフマン氏がスケール戦略を聞いた(インタビューが行われたのは18年4月24日)。
Listen to Masters of Scale at applepodcasts.com/mastersofscale and follow us Twitter.com/mastersofscale.
【マリッサ・メイヤー】データを集めてから、直感で決断を下す
「スタンフォードの先生たちに、いい新卒生はいないかと聞いたら、君の名前が何度かあがった」とメールに書いてありました。
そこで私は、「考えてみます。ただ、面接は火曜日でないと困ります」と返事を書きました。全部の会社の面接を1日にまとめたいと思っていたのです。
翌週の火曜日、(Googleの共同創業者である)ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの面接を受けに行きました。
【マリッサ・メイヤー】Google20番目の社員として大混乱の日々
初日は、「今日は6時に帰ったほうがいい」と言われました。
「次にいつ6時に帰れるかわからないからね」と。
【マリッサ・メイヤー】なぜGoogleのデザインをシンプルにしたか
リード・ホフマン あなたが手がけたシンプルで使いやすいデザインは、Googleがスケールする上で重要なカギになりました。あれが生まれた経緯は?
マリッサ・メイヤー 初期のGoogleは混沌としていて、基本的に1プロジェクトの担当者は1人だけ。でも、広告チーム収入をもたらす重要な部門と考えられていたで 3 人いました。
【マリッサ・メイヤー】世界を変えてきたのは小さなチームだけだ
ホフマン 会社のスケールが始まったのはいつ? そこであなたが果たした役割は?
メイヤー スケールすること、しかも隣接領域にスケールしていくことは、ごく初期から念頭にありました。というか、私たちはそれに全力を傾けていました。
エリック(・シュミット)はいつも、「小さなチームが世界を変える力を決してあなどるな。実のところ、世界を変えてきたのは小さなチームだけなのだ」と言っていました。
【マリッサ・メイヤー】対立と賭け。Googleを躍進させた「APM」
ホフマン APMプログラムのことを教えてください。
メイヤー APMとは「アソシエート・プロダクトマネージャー」のこと。APMプログラムは、いわばプロダクトマネジャーの見習い制度です。それを立ち上げたことを私はとても誇りに思っています。
きっかけは、ちょっとした対立でした。
私はジョナサンのところに行って、「(新しく雇ったプロダクトマネジャーの)ジョンはサラーを、パールはスーザンについた。私は画像検索やニュース検索、メイン検索ツールバーを担当しているけれど、私のことを手伝ってくれる人はいつ来るの?」と聞きました。
私たちはGメールの仕事も進めなければいけませんでした。14件くらいのプロジェクトが同時進行していたのです。
でもジョナサンは私をじっと見て、「直接的な収入をもたらしたらね」と言いました。
私は「冗談でしょう?」と言い返しました。
【マリッサ・メイヤー】多才な若者は1年で異動させる
APMプログラムでは、1年目の終わりに全員と面接をして、その1年間で学んだことや、次の年にやりたいことなどを聞きます。
たいていのAPMは「別の部門に移りたくない」と言いますが、「それはダメ。異動はしなくてはいけない」と言い聞かせていました。
「30歳とか40歳になって、家族ができて住宅ローンを組んだりすると、転職するのはとても難しくなる。ここでなら転職しなくても、3つとか4つの分野のプロダクトマネジメントを経験できるのよ」とね。
【マリッサ・メイヤー】Googleから経営難のYahoo!へ移った理由
ホフマン GoogleからYahoo!に移ることにした経緯を教えてください。Yahoo!はインターネットの世界の超重要企業ですが、さまざまな戦略ミスや判断ミスが重なって経営難に陥っていた。なぜそこに飛び込もうと思ったのですか?
メイヤー Googleでは、いろいろな仕事をしましたが、2010年にラリーとセルゲイとエリックが、「会社の経営方法をちょっと変えたいと思っている」と言ってきました。
【最終話・マリッサ・メイヤー】Yahoo!でやり残したこと
ホフマン いま振り返って、Yahoo!で「ああしておけばよかった」と思うことはありますか?
メイヤー もちろんあります。
ホフマン キャリア全体を通じて、一番恥ずかしかったと思うことはなんですか?
メイヤー Googleヘルス。時代を先取りしすぎていたと思います。
ホフマン では、一番誇りに思っている仕事は?
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編翻訳:藤原朝子、バナー写真:NOAH BERGER/The New York Times、デザイン:今村 徹)