MUFG、旧行バランス人事転換 脱・連邦経営へ
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色々考えさせられる。あえて、少し逆側の視点も含めて。
①経営統合から本当に一体になるまでの時間軸
MUFGが誕生してから15年、また東京三菱となってからは20年以上。銀行は特にかもしれないが、統合後に一体となって経営を行うというのには時間がかかる。
システム、顧客とのコネクション、そして社内組織。10年ほど前に興銀→みずほで統合を経験された方の話を聞いたことがあるのだが、新卒で採用した人が旧行ではなく「みずほ」という組織に所属していると感じて、一定のポジションにまで上がったときというのが現実として統合が完了したといえるタイミングではないかという私見を聞いた。みずほで新卒採用をしていても、部署や店舗単位でまだ旧行の色が強ければ、それはそうは感じない。
②実力差はどこまであるのか
実力本位の人事とある。一方で、本来的に人間の差というのはそんなにあるのだろうかとも思う。どんな組織でもパレートの法則ではないが結果を出す人・出しにくい人がいるし、それを含めてどう経営していくかが企業や社会だとも思う。
そのなかで、三菱出身者がこれだけ揃うというのは、本当に「実力本位」なのだろうか?実力だとすれば、その実力が付いた背景や実力差の要因にはなにがあるのだろうか。
本人のスキルだけでなく経験や環境も影響してくるもの。そこを含めてどう人財育成をしていくか。
③組織としてのモチベーションと結果
元の人間というのは、DNAとかを考えればほとんど変わらない。どちらかといううとモチベーションや環境が差を生み、その差の蓄積がもっと差を生んでいくと思う。
その意味で、組織全体のモチベーションは本当に重要。そのなかで、結果だけをみると三菱出身者が占めている。人間は自分について客観視がしにくいところはあるが、バランスを取ることで組織全体のパフォーマンスを上げる側面もあるとは思う(もちろん下がる側面も否定できない)。
一方で、シグナリングとしては統合がいよいよ完了したから、出身行を踏まえない人事をしても十分組織としてモチベーションが保てる状態になったというい風にも捉えられるかもしれない。結局旧行バランスから早く抜け出したものが、決断も早く無駄も少なくなる。三菱が主導権を握るMUFG、住友が主導権を握るSMBCに比べ、いまだ旧行バランスから抜け出せないみずほの遅れはまさにそこ。今期末についに多額の減損処理に踏み切ったみずほが、果たして名実共に3メガとして残れるか否かは、旧行バランスからの真の脱却ができるか否かにかかっていると思います。持株→旧興銀、銀行頭取→旧DKB、銀行会長→旧富士のバランス人事をやめ、どこかが明確な主導権をとらないと、「みずほ一人負け」は決定的になるでしょう。