ECB、年内の利上げ断念 銀行向け低利融資を新たに導入
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事前予想通りだと思いますが、欧州中央銀行は政策金利と量的緩和の規模維持を従来通り決める一方、政策金利の据え置き目処を従来の2019年夏から2019年末まで延長し、さらにTLTRO-IIIと呼ぶ資金供給プログラムを開始します。
このところ製造業中心に景況感が弱くなり物価上昇圧力も随分緩和しており、今年に入って米国FRBの金融政策スタンスが軟化したことと同期して景気のダウンサイドリスクを警戒し始めた印象です。利上げについても、銀行向け貸出(TLTRO)についても、予想通り、というかこれまでのコミュニケーション通りですね。
もちろんFRBが利上げペースを遅らせる展開になったように、貿易政策の影響など、世界経済全体で低調になってきている面もありますが、欧州の決定はこれとは切り離して考える必要があると思います。TLTROについては、欧州は個別の問題(Brexit、イタリアなど)があるほか、銀行規制とセットで考える必要がありますので、銀行の資金調達が困難化して、不要な悪影響を生じさせないという意味では、ごく自然な政策判断かと思います。
ECB、長期資金供給再開論が台頭 状況脆弱で流動的=議事要旨
https://newspicks.com/news/3587833今回の見どころは、これほど大幅なスタッフ見通しの下方修正がたった3か月の間に行われたこと、TLTRO3は2月会合で(殆ど)議論されていないのに一足飛びに実施まで決まったこと、です。
FG修正それ自体は予想通りですが、夏を年内にしたのは私は悪手だと思います。たった3か月伸ばすという小手先の修正よりも半年にして2020年3月にした方がよかったように思います。新総裁はその是非についていきなり11月に問われてしまいます。もっともドラギは就任初回の会合で36M-LTROという大砲を打ったわけですが・・・
ちなみにTLTROは緩和策ではなく銀行の資本規制対策の一面が強いものです。景気がこれほど失速する前から議論されていたことです。報道を見ていると、このあたりを理解していない向きが多いと思います。