[ワシントン 5日 ロイター] - 韓国の情報機関、国家情報院の徐薫院長は5日国会で、北朝鮮の山陰洞にある大陸間弾道ミサイル(ICBM)の製造施設で物資運送用車両の活動を確認し、事実上ミサイルと関連した活動と判断していると報告した。7日付の韓国紙、中央日報が国家情報院の説明を受けた議員の話として報じた。

同紙によると徐薫院長は、北朝鮮が、昨年6月にシンガポールで開催された1回目の米朝首脳会談後に、寧辺の核施設でウラン濃縮を続けていたことも確認したと国会に報告した。中央日報によると、韓国当局が北朝鮮のウラン濃縮継続を公式に確認したのはこれが初めて。

山陰洞にあるICBM製造施設は、ICBM「火星15」(射程1万3000キロ以上)を2基製造した施設。北朝鮮は2017年に火星15の発射実験を行い、「核武力」が完成したと宣言。その後18年に韓国、米国との首脳会談を行った。

韓国の大統領府と国防省は、米国と協力して北朝鮮の活動を注意深く監視しているとコメントし、報道内容の確認を避けた。

米国務省は現時点でコメントを発表していない。

米国の2つの研究機関と韓国国家情報院は5日、北朝鮮が昨年解体を開始した東倉里の「西海(ソヘ)衛星発射場」の一部に復旧の兆候があることを確認した。復旧作業は、2回目の米朝首脳会談がハノイで開催されている間も、続けられていたという。

トランプ米大統領は6日、北朝鮮のミサイル施設に一部復旧の兆候があるなどと伝えた各種報道が事実なら、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長への失望は大きいとの認識を示した。

トランプ氏は、北朝鮮が合意に違反しているかとの記者団の問いに「実際にそうなら非常に残念だ」と発言。さらに「極めて初期段階の報道で、判断するのは時期尚早。様子を見たい」と語った。「(報道が事実なら)金委員長にはとても、とても失望するだろうが、そうはならないと思う。最終的には解決されるだろう」とも述べた。

先週の米朝首脳会談は物別れに終わったが、トランプ氏は「非常に厄介な問題があった。問題を解決する必要がある」と述べた。金委員長を念頭に置いたのか、「関係は良好だ」と付け加えた。

米ミドルバリー国際学研究所が分析したプラネット・ラブズの画像によると、西海衛星発射場の作業は先月23日から今月6日まで続いている。

ワシントンの政策研究機関スティムソン・センターの北朝鮮分析サイト「38ノース」は6日、ロケット移動用の構造物が完成し、発射台の端に移されたと分析。

ただ38ノースの幹部はロイターに「施設の復旧作業が行われているという以上の結論は引き出せない。それ以上のことを示す証拠は何もない」と述べた。

米政府筋は、西海衛星発射場の作業が、首脳会談の前に始まった可能性が高いとの見方を示した。

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5日、北朝鮮が非核化に向け動かなければ、制裁強化を検討する考えを示した。

対北朝鮮強硬派で知られるボルトン氏は、フォックス・ビジネス・ネットワークに対して「北朝鮮が非核化に前向きでなければ、トランプ大統領はこれまで明確にしているが、北朝鮮が経済制裁による打撃から解放されることはない。われわれは制裁を強化することも検討する」と語った。

一部のアナリストは、西海衛星発射場の復旧作業について、ミサイル実験再開に向けた明確な動きではなく、米国に圧力をかけ、米朝合意を実現することが狙いではないかと分析している。

ポンペオ米国務長官は4日、北朝鮮との協議継続に向け、米国の代表団を数週間内に平壌に派遣する可能性に期待していると述べた。

*内容を追加しました。