[サンフランシスコ 28日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー、テスラ<TSLA.O>は28日、量産型セダン「モデル3」で最も価格の安い3万5000ドル(約390万円)の新車種を販売すると発表した。納車期間は2─4週間。同時に世界中の多くの販売店を閉鎖し、販売ルートをオンラインに特化する。

同社はブログで「全ての販売をオンラインにシフトし、他に進めているコスト節減策を組み合わせることで、われわれは全車種の価格を平均約6%下げられる。それによって3万5000ドルのモデル3の導入を想定より早く実現できる」と説明した。

モデル3の価格帯引き下げは今年に入って3回目。テスラ車に対する連邦税優遇措置は今年1月から段階的に縮小され始めている。

3万5000ドルの車種は最高速度が時速130マイル(209キロ)。これよりやや高い3万7000ドルになると、最高速度は140マイルに上がり、航続距離は240マイルとなる。

アナリストの間からは、3万5000ドルの車種導入は、特に連邦税優遇の規模が年内に半減するのを受け、より高価格のモデル3の需要がなくなり始めたことの反映ではないかとの懸念が出ている。

エラザール・アドバイザーズのチャイム・シーゲル氏は「テスラは需要を喚起したいのだ。米国市場では税制優遇の縮小に伴って(需要が)減速しており、さらに税制優遇の効果がはく落することに先手を打とうとしている」と指摘した。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのダニエル・アイブス氏は3万5000ドルの車種導入を評価しつつも、納車や顧客サービスなど従来抱えていたテスラの問題が悪化する恐れもあると警告した。

一方、テスラのオンラインシフトは、これまでの販売戦略の劇的な転換と言える。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2017年、店舗増設を表明。昨年第4・四半期時点でも新たに27店を開き、店舗とサービスセンターの総数は378カ所に達していたからだ。

テスラは第4・四半期の株主宛て書簡で、今年第1・四半期に「非常に小幅の」純利益を確保することを「楽観的な目標」に掲げた。ただCNBCによると、マスク氏は黒字転換は第1・四半期ではなく第2・四半期になるとの見通しを示した。

*円換算を訂正しました。