【須藤憲司】「ID戦略」「動画」「One to One」のポイント

2019/3/14

「ID戦略」のポイント

日本における「デジタルトランスフォーメーション」を考えるときの論点は、「ID戦略」「動画」「One to One」の3つになると先程説明しました。
1つ目の「ID戦略」は、サービスごとに会員組織ができるという問題から起こります。
例えば、合計会員数が500万人のサービスがあるとします。そのうち、メール送信の許諾が得られている会員が200万人で、実際そのうちの50万人にサービスを購入してもらえている。
しかし、そのほかに、コールセンターへの問い合わせが毎年200万件あったり、メール送信の許諾を得られていない会員が40万人いたりもします。その上、SNSのフォロワーが300万人いたり、アプリが50万ダウンロードされていることもある。
問題となるのは、これらのユーザーグループを管理している組織が、それぞれバラバラな場合です。そうなると、DMを送付するときも、組織ごとに送らざるを得ない。
当然ながら何が起きるかと言えば、ユーザーのメールボックスに同一企業から多くのメールが届くという現象です。もちろん、メールの開封率はどんどん下がっていきます。
この問題点は、これまでのID戦略を何という言葉で表していたかを聞けば、非常にわかりやすいかもしれません。実はこれまではID戦略を、“会員獲得と囲い込み”と言っていました。
今でも大企業の役員会に出席すると「これからは囲い込み戦略が大事だ」とみなさん語られますが、「皆さん自身は囲い込まれたいんですか?」と聞くと、誰もそんなことは思っていないわけです。
今までのID戦略は、釣った魚には餌をやらないでDMを送りまくることだったと言えるかもしれません。