［東京 ２７日 ロイター］ - 日銀の雨宮正佳副総裁は２７日の衆院予算委員会分科会に出席し「現段階でデジタル通貨を発行する計画は持っていない」と述べた。中谷一馬委員（立憲）の質問に答えた。
雨宮副総裁は、取引の効率化や安全な支払い手段の提供というメリットがある一方で、利用する技術が十分成熟しているか、安全性、信頼性、民間銀行の活動にどのような影響を与えるかなど検討課題も多く「慎重に検討していく必要がある」と指摘。そのうえで「海外におけるデジタル通貨を巡る検討の状況などを含め、新しい情報技術を活用した決済金融サービスの動向など、そうした技術の中央銀行業務や通貨への応用についても引き続きしっかりと検討していきたい」と述べた。
デジタル通貨によるメリットを試算することについては「現金は社会全体の幅広い主体によって使われている。コストを正確に把握することは難しい」とし、試算については幅を持ってみていくべきだと述べた。
(清水律子)
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自国のデジタル通貨の発行によって、競争力を高めると同時に、コストカットや経済成長を目指して戦略的に取り組みを進めている国があります。
例えば、スウェーデンにおいては、デジタル通貨「ｅクローナ」の発行を検討しており、スウェーデン中央銀行のスキングスレー副総裁は5年以内に完全なキャッシュレス社会になるとの見通しを示されました。
また、ウルグアイでも希望者一万人を対象に「ｅペソ」を発行し、試験的な運用を始めました。その他にも中国では中長期的に中央銀行のデジタル通貨を発行する構想を発表されました。
そうした中において、国際通貨基金（ＩＭＦ）のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、キャッシュ需要の減少とデジタル通貨への関心の高まりを踏まえて「国家にはデジタル経済に通貨を供給する役割があるかもしれません。」と発言をされました。
その一方で雨宮（あまみや）副総裁は、マネーの将来と題されたご講演の中で、中央銀行が発行するデジタル通貨に関して、「銀行券が急速に減少しているスウェーデンなどデジタル通貨の発行について真剣な検討を行う中央銀行もみられる」という趣旨の発言をしつつも「日本銀行は現在のところ、一般の支払決済に広く使えるようなデジタル通貨を発行する計画は持っておりません。」という見解を示されておりました。
ただ、副総裁は「技術進歩が極めて急速であり、支払決済や金融経済を取り巻く環境も急激に変化している中、将来のマネーの姿を確度を持って予見することは容易ではありません。」とも述べられており、この部分に関しては私も同様の見解であります。
キャッシュレス化をはじめとしたフィンテック推進は、マネーロンダリング対策、偽札流通への対策、徴税効率の向上、社会的コストの削減、データの利活用など、様々な面で現金決済インフラよりも優れているとされ、経済成長に繋がるとの考えを有されており、各国でフィンテックの推進が進んでおります。
この度の質疑において、
「海外におけるデジタル通貨を巡る検討の状況などを含め、新しい情報技術を活用した決済金融サービスの動向など、そうした技術の中央銀行業務や通貨への応用についても引き続きしっかりと検討していきたい。」というご答弁を頂きましたので、さらなる研究を深めて頂きたいと思います。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/
つい先日に、
「情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨」2019年2月19日
柳川 範之、山岡 浩巳
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2019/wp19j01.htm/
というワーキングペーパー出したばかりでしたからね。
世界の中央銀行はCBDC（Central Bank Digital Currency）について検討していましたが、今のところ、スウェーデンをはじめ、カナダ、ECなどは時期尚早という結論を出しています。
すでにカード決済やモバイル決済のネットワークがあるので、それを使えば十分だという考えです。
CBDCを発行し、決済するためのインフラコストは誰が負担するのか。ここが大きな問題だとしています。
「しっかり検討していく」というのは、導入に積極的というスタンスとは大きく異なります。
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