ミレニアル世代とZ世代の違いは、組織構造や職場でのコミュニケーション、従業員教育などに影響する。8つの重要な違いについて紹介する。

異なる世代が生む「認識の多様性」

就職に意欲的な次の世代はZ世代だ。米国勢調査局によると、Z世代(ポストミレニアル世代)は人口の25%を占めている。
Z世代の62%は、ベビーブーマー世代やX世代との協働は難しいと予想している。その一方、ミレニアル世代との協働が難しいと予想しているZ世代は5%にとどまる。
新しい世代の期待や志向をしっかりと理解している企業は、次世代の有能な人材を惹きつけ、その潜在能力を最大限に引き出す備えができている。世代間で生じる避けられない問題を緩和しながら、多様な世代に属する従業員たちから生まれる「認識の多様性」を活用できるのだ。

1. 現実的vs楽観的

Z世代の77%は、旧世代よりも一生懸命働くつもりだ。
ミレニアル世代は励ましてくれるベビーブーマー世代の親のもとで繁栄し、チャンスに恵まれた時代に育ったおかげで楽観的になった。Z世代は、懐疑的で率直に物を言うX世代の親と景気後退期に育ったことが原因で現実的になるだろう。
ピュー・チャリタブル・トラストによると、リーマンショック後の世界金融危機の間に、Z世代の親が持つ純資産の中央値は45%近く低下した。

2. 独立志向vs協力志向

Z世代の71%は「きちんとやりたければ、自分でやれ」という言葉が正しいと信じていると回答した。自由にデスクを配置させると、ミレニアル世代は協働型の配置を選び、デスクを円陣に並べる。
Z世代は同僚に対する競争心がもっと強く、仕事では「DIY精神」を活用するだろう。実際、Z世代の69%は他の誰かとワークスペースを共有するより、自分のワークスペースを持とうとする。

3. デジタルネイティブvsデジタルパイオニア

Z世代の40%は、Wi-Fiが使えることはトイレを使えることよりも重要だと回答した。ピュー研究所によると、1995年には米国成人の14%しかインターネットにアクセスできなかったが、2014年までにその割合は87%になった。
ミレニアル世代は、デジタル時代のパイオニアだった。ソーシャルメディア、インスタントメッセージ、スマートフォン、検索エンジンの導入や台頭、モバイル革命を目の当たりにした。
Z世代は、こうしたイノベーションを目撃したというよりは、むしろその中に生まれた。ユビキタス・コネクティビティ、世界中の情報が高度にキュレートされた状況、オンデマンドビデオ、毎日24時間のニュースサイクルは、Z世代にとっては生まれたときから存在していたものだ。

4. プライベートvsパブリック

Z世代の70%は、上司と個人情報を共有するよりもペットと共有することを選ぶ。
デジタルパイオニアであるミレニアル世代は、ソーシャルメディアをあちこち探検し(場合によっては自ら開発し)、自分の考えや意見を公開し、注目に値したりくだらなかったりする人生の最新情報すべてを公にした。
これに対してZ世代は、安全やセキュリティが真っ先に頭に浮かぶので、オンラインで共有する情報については、もっと計算ずくだったり、慎重に選んだりするだろう。
たとえば、Z世代がSnapchatに惹きつけられるのは、一定の時間でコンテンツが消滅するからだ。ツイートやFacebookへの投稿のように、オンライン上で永遠に残ったりしないのだ。

5. 対面vsデジタル限定

Z世代の74%は、同僚と対面してコミュニケーションを取るほうが好きだ。
ミレニアル世代が開拓した多くのデジタルコミュニケーションツール(テキストメッセージ、インスタントメッセージ、Slackなど)は職場の効率や能力を高めてきたが、あまり好感のもてるやり方ではないと主張する者もいる。
Z世代は、SkypeやFaceTime、Snapchatなどで、音声や視覚、動作を利用して通信してきた体験がある。職場でのコミュニケーションにおけるオンラインとオフラインの適切なバランスを取るのに、理想的な世代と位置づけられるだろう。

6. オンデマンド学習vs学校教育

スパークス&ハニーによると、Z世代の75%は、大学に行く以外にも優れた教育を受ける方法があると述べている。
最近の大卒者のうち、44%は学位が不要な仕事に就き、8人に1人は失業者だ。こうしたことを考えるとなおのこと、ミレニアル世代は、大学のために抱える多額の学生ローンにその価値があるのかについて疑問視しつつある。
Z世代は、新しい学習方法を探るだろう。YouTubeのハウツーやチュートリアルのようなオンデマンドやジャストインタイムの学習ソリューションを追求したり、しっかりとした実地研修やトレーニングを提供する雇用主を求めたりするだろう。

7. 役割を替えるvs職を替える

Z世代の75%は、1つの勤務先で複数の役割を担える状況に関心を抱いている。
ミレニアル世代はオンデマンド文化のなかで、速いペースで成長して成人してきた。そのため、「伸び悩み」に対する忍耐力がほとんどない。とくにキャリアについてはそうだ。
Z世代は、貴重な体験ができる機会はなんであれ、逃したくないと考えている。組織のなかで、さまざまな役割やプロジェクト(マーケティング、会計、人事など)を試して、オンデマンドな学習能力を鍛えたいと考えるのだ。

8. グローバルな市民vsグローバルな観察者

世界中の35歳以上の成人のうち58%は「現代の子どもは、自国の成人との共通点より、世界の子どもとの共通点のほうが多い」という考えに同意している。
ミレニアル世代は、最初のグローバル世代と考えられていた。国境を越えて似たような特徴と価値観を共有し、大きな世界的出来事をリアルタイムで見ることができるからだ。
だがZ世代は、他のどの世代よりもかなり流動的に、世界のZ世代とやりとりしている。世界でオンライン化が進むにつれて、地理的な隔たりは小さくなり続け、Z世代は自らをグローバル市民と見なすようになるだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Ryan Jenkins/Millennial and Generation Z speaker and generations expert、翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、写真:kyonntra/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.