【実録】極寒・フィンランドの小都市に、一人で拠点を立ち上げた男

2019/2/18
オーロラが見られる神秘の都市ーー。
そう聞けば、普通は観光スポットを思い浮かべるかもしれない。だが、北緯65度と、もはや北極圏間近の極寒都市に、会社の未来を賭けた新拠点をハイテク企業がある。
ローム。半導体で有名な京都の企業だ。
しかも、同社は、今や社員数(連結)が2万人を超える大企業にもかかわらず、初の海外開発拠点の立ち上げを、30代(当時)の若手社員に託した。IoT時代に必要なソフトウェア拠点として、一からビジネスを作り上げるためだ。
NewsPicks編集部は、その人物、フィンランド・オウルにあるソフトウェア開発センターのトップを務める岡田幸紀にその奮闘を伺った。
岡田幸紀(おかだ・こうき)大学卒業後、メーカーを経て、2003年にローム株式会社に入社。北米、インド、ドイツなどの海外ベンダとのソフトウェア開発を担当。2014年フィンランドソフトウェア開発センターの設立に携わり、2015年に赴任。現地エンジニアのマネジメントと、外部パートナーとの関係構築に従事。

北欧にあった理想の拠点

──なぜオウル市に拠点を立ち上げることになったのですか?
ロームは近年、ソフトウェア開発力の強化が重要になっていました。