ダボスで見えた「自動化」をめぐる経営者のホンネ

2019/1/31

空疎なパネルディスカッション

早く社員を全員ロボットに入れ替えられたらいいのに──多くの企業トップは、内心そう思っている。あなたの会社のトップも例外ではない。
もちろん、公の場でそんなことを口にしたりはしない。だが、これは紛れもない彼らの本音だ。
先週、筆者はダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に参加し、世界のエリート企業幹部たちと1週間にわたり腹を割って話をしてきた。そこで気がついたのは、自動化について質問されたときの彼らの答えは、質問者が誰かによって大きく異なることだ。
彼らの多くが、表向きは人工知能(AI)や自動化が雇用に与える影響に懸念を示す。パネルディスカッションでは、「第4次産業革命」に向けた「人間中心のAI」を作るべきだと論じ、自動化で仕事を失った人にセーフティネットを提供する必要性を語る。
ところが、ごくプライベートな場では、経営者たちは正反対の話を始める。競争から脱落しないように、自動化を大急ぎで進めたいというのだ。労働者が被る影響など、まるで気にしていない。