スクープ解説 日立、エネルギー戦略再構築の狙い
コメント
注目のコメント
メガソーラーが異常に高い買取価格とガバガバのルールでアホみたいに野放図に設置されてしまい、系統の空きがなくなって風力の優良案件が軒並みポシャったという影響もありそうです。
民主党政権下で決まったFIT価格設定で失ったものは大きいですね。
目先のカネを優先してエネルギー供給や産業のあり方を考えてない人達に、ルールを作らせてしまった日本国民が最大の要因でしょう。
まともな風力発電事業者が殆ど無かったのも大きい。最大手の三菱は最初から国内無視で米国に行き訴訟で失敗。事業者も不動産開発寄りで発電は二の次。筋悪案件では当然評価は低く、ロビー力もないのでメディアに叩かれる。
ドイツはエネルコン、シーメンスとありますが、ちゃんと国内市場が確立してますからね。
日立は国内がダメなら海外と考えていたようですが、日立の持つ2MW(これも2012年に富士重工(SUBARU)から買収)では海外の主力マーケットの3-4MWには入って行けません。海外企業の買収を考えていたようですが、今更良い案件はなかったようです。
今後はエネルコンの取次を広げるのでしょうが、せっかく一般海域の法整備ができたのに、エネルコンは洋上やりません。
さてさて。事業者にとり風車はグローバルでの調達です。性能とサービスとコストの総合評価で風車を選定します。
同じことを風車メーカーの立場から見ると、受注競争はグローバルでのものです。ライバルは海外のトップメーカーたち。
日本で成長が期待される洋上風力インダストリーの風車メーカーは、グローバル1位がシーメンス、2位がMHIヴェスタス(三菱重工とヴェスタスのJV)です。世界のビッグ2は累計で3000-4000本の風車を納品しており、彼らの風車は欧州を中心に今日も世界の風を受け、回転し、発電しています。風況や発電のデータは数年〜十数年単位で蓄積されています。そしてデータは新たな技術開発の源泉です。
勝ちが勝ちを生むサイクルなので、新参者の入る隙間は(今後よほどの破壊的なイノベーションがない限り)、ありません。
—-
ちなみに、日立製作所が社会インフラ総合メーカーとしてベンチマークとしていたシーメンスは、事業のポートフォリオを絶え間なく入れ替えてきました。事業ポートフォリオ入れ替えの基本ルールの1つには、業界で1位か2位のポジションを獲れることがあります(←資本市場でそう見られています)。トップポジションを獲れない事業は、売却やシャットダウンの対象です。
今回の日立製作所の動きは、世界市場や世界のリーディングプレイヤーがとる経営戦略のコンテクストからは、納得感があります風力は価格競争が激しくなっているので、日立が2021年に目標とする営業利益率8%は厳しいですよ。
以前は、陸上が儲からず、洋上で稼いでいましたが、こちらも一般発電並みのコストを実現するために、コスト競争は猛烈になっています(主に欧州市場の話)。
鳴物入りの台湾の洋上風力でも、あまりの指定価格の安さに入札から降りたメーカーもあったほど。
以上は機器メーカーの話ですが、日立がこれから目指すメーカーではないEPC(設計、調達、建設)ならばこの傾向は余計でしょう。
特に「エネルギー戦略」といっても、国内での輸入販売と施工中心となるので、付随するコントロールやモニタリングのIOT関連で利益を増やす戦略が必要でしょう。
これからの日本の電力関連機器のビジネスは、海外市場にアクセスしないとボリュームが稼げないので、厳しいです。