【タビオ会長】人は「人格に合った商品」しか作れない

2019/1/29

婦人靴下市場に挑戦

──越智さんは独立し、「ダン」を創業しました。キング靴下での丁稚生活は厳しいことも多かったと思いますが、気力が途切れず、それでも靴下にのめり込んでいったのはなぜですか。
越智 そら、おたくらみたいに能力のある人は他になんでもできます。でも、わしに映画の仕事とかできると思いますか? できへんことは、自分でもわかってまんがな。
わしは、靴下以外のことは何も知りまへんのや。
──当時、市場が小さかった婦人物の靴下に着目し、研究したそうですね。
当時の女性は、パンティ部分のないストッキングをガーターベルトでつったものをはくのが主流でした。もう、ガーターベルト見ただけで鼻血が出よってね、震えながら作ってましたわ(笑)。
越智 直正(おち・なおまさ)/タビオ株式会社 代表取締役会長
今でいう靴下もあるにはあったけど、大手や百貨店は力を入れておらず、中小メーカーや問屋が中心。しかも婦人物だから、品質よりデザインが重視されていました。