【秘話】なぜ「京都産ジン」が世界の頂点に立てたのか

2019/1/16

前代未聞の快挙

2018年11月14日、京都蒸溜所の代表、タキシード姿のデービッド・クロールは顔を紅潮させ、「……信じられない」とつぶやいていた。
場所はロンドン。この日は、世界的な酒類品評会「IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)」の表彰式が行われていた。
京都蒸溜所が2016年10月にリリースした「季の美 京都ドライジン」が「コンテンポラリージン」カテゴリーの最高賞を獲得。受賞者が一堂に会するアワードバンケットに招待されていたのだ。
世界中のジンメーカーが腕を競う「IWSC」で、日本発のジンが最高賞をとるのは初めてのこと。ジンの本場、イギリス出身のデービッドは誇らしい気持ちでいっぱいだった。
さらに思わぬサプライズも。授賞式の場で、京都蒸溜所に「インターナショナル・ジン ・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」が授与されると発表された。
IWSCの授賞式(提供:京都蒸溜所)
この賞は「IWSC 2018」にエントリーした世界各国600種類以上のジンから、カテゴリーを超えて際立ったジンをプロデュースした蒸溜所に贈られるもので、その年に1社しか選ばれない。ジンをつくり始めて2年しか経っていない、アジアの小さな蒸溜所が受賞するのは前代未聞のことだった。