【柴山和久】2019年の金融市場と富裕層の資産運用
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年の瀬、久しぶりに地元に戻ると、証券営業マンが増えていることに気づきました。
私の地元である、東京都心から2時間弱の田園地帯では通常、進路として「親が」イメージできる職業(多くは肉体労働系士業)につくことが多いと感じています。つまりこの地域でも、親世代が証券営業マンと接する機会が増えているということ。ここまではいい。
しかしいざ知人家族に話を聞くと、投資先は勧められたままの豪州成長銘柄一点張り。投資について何も知らなかった人の初投資として不可解とは思わないでしょうか。おそらく年末締め数値上乗せ営業に乗ってしまったのかと思います。
預金利率はほぼゼロになって久しく、ようやく人々の目が投資に向かい始めたのだと思います。が、金融市場云々の前に、企業・株価・債権といったものへの基礎的理解がないために、搾取対象として利用され始めているのが現状のように見受けられます。
個人的には2019年以降、市井の格差を最も拡げるのは、埋まりつつあるデジタル・デバイドよりも、家計に直接的な影響のある「ファイナンシャル・デバイド」なのではないかと思います。異論なく解決されるべき課題の一つです。
注目のコメント
「2019年大予測」の資産運用パートを担当しました。
2019年の金融市場の見通しは極めて不透明です。しかし、その不透明感によって、海外の富裕層の資産運用の方針が大きく変わることはありません。
これまで海外の富裕層は「長期・積立・分散」を中心に資産運用を行なっており、そうすることで世界経済の成長の恩恵を優先的に受けてきました。
世界経済の成長について考えてみると、短期的には米中の貿易戦争などの影響を受けますが、長期的にはそれらを乗り越えて世界経済は大きく成長していくと考えらます。記事中のグラフにもあるように、1992年に25.1兆ドルだった世界GDPは、2017年には79.8兆ドルに成長しています。グラフを見ると明らかですが、リーマン・ショックの影響すら一時的でした。
世界経済に広く投資するというアプローチは、これまで100年以上に渡り、景気サイクルや金融危機を乗り越えて有効でした。
2019年の金融市場は不透明ですが、資産運用の基本的な考え方は不変です。
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なお、本稿を脱稿後に、アメリカで実際に10人近くの富裕層にインタビューしたところ、コンセンサスは次のような感じでした。(年齢は50-60代、現役の医者や元弁護士など)
(1)クリスマス前夜に株価が大きく下がり、金融資産が数千万円も目減りした。2019年にはもっと悪いことを起きるかもしれない。しかし、資産運用の方針は変える予定はない。
(2)1980年代末に資産運用を始めてから、資産が大きく目減りすることは何度もあったが、しばらくしたら回復した。資産運用は、続けることが大切というのが最大の学びだ。
(3)「株価の底を見定めて追加投資する」こともしない。正しいタイミングは事前にはわからない。それに、現金にも目に見えないリスクがある。
ーーーーー世界の人口動態でみれば「2050年までの約30年間の見通しでは、世界の労働人口は増え続け、テクノロジーによって世界の労働生産性はますます向上していく。」つまりGDPは伸びつづける。
よって、短期的に捉えるのではなく「長期・積立・分散」の資産運用は合理的。なるほど、株価に一喜一憂するのではなく、長い目で資産を運用するスタンスが大切ですね。「富裕層の」とありますが、一般層も同じ考え方が最も有効だと思います。
金融について学べば学ぶほど、「長期・積立・分散」から離れられなくなるのでは。
コア:「長期・積立・分散」であり、世界中の様々な資産に幅広く投資
サテライト:個別の銘柄や国・地域、産業への短期投資
「コアを資産全体の70~80%とし、サテライトを20~30%までに留めるのが一般的」
しかも、柴山さんの追加コメント(追加取材!)までついていて、勉強になる記事でした。
そう、現金にもリスクがあるのですよね。