電動歯ブラシ用の竹製ヘッドも開発

紙製のストローが今、注目を集めている。だが、創業6年目となる「プラス・ウルトラ(Plus Ultra)」の創業者、クリスティーナ・ラミレスが挑んでいるのは、プラスチック製歯ブラシの問題だ。
同社の歯ブラシは生分解される竹で作られており、2012年12月にホールフーズ・マーケットの33店舗で販売を開始した。現在では米国内300以上の店舗で販売されており、今年度の収益は200万ドルを超えると予想されている。
そしてラミレスは、電動歯ブラシ用の竹製ヘッドの開発にも取り組んでいる。
現在33歳のラミレスがこの着想を得たのは、2006年にカリフォルニア大学で学んでいた時のことだった。履修していたある授業で「グローバルな問題に取り組む企業を作るように」と指示されたラミレスは、竹製歯ブラシ会社の事業計画を作成した。プラスチックの歯ブラシが毎年、何十億本も捨てられているからだ。
ただし、その計画はしばらく棚上げになった。ラミレスが「マーケティングの分野で、企業型401k(確定拠出年金)に加入できる会社に就職」したためだ。だが、思いついたアイディアは頭を離れなかった。
そこで2010年、彼女は会社を辞め、カリフォルニア州ベニスのホールフーズ・マーケットで新人レベルの仕事から始めることにした。彼女の言葉を借りれば、「スーツを着る仕事から、エプロンを着けて時給11ドルで働く」キャッシャーに転身したのだ。それは「最高の決断だった」と言う。
7カ月後、彼女はバイヤーに昇進し、商品が店の棚に並ぶまでの過程を学んだ。歯ブラシの試作品を同僚たちに見せてみたのは、2012年のこと。彼らが「いいね」と言ってくれたので、積み立ててきた401kを解約して現金を作り、中国に行って製造業者を見つけてきた。

炭化ではなく、過酸化水素水で防水

横から見ると波型にカットされたブラシヘッドと毛先の丸いブラシの毛は、ラミレスが歯科医たちに意見を求めて考え出したものだ。ハンドル部分は竹製で、生分解されるが、ブラシの毛はナイロン製で生分解はされない。
一部の競合が販売している「炭が練りこまれたブラシ」についてラミレスは「FDA(食品医薬局)の認可を受けていないものです」と言う。「私たちはFDAが認可したものにこだわっています」
他社の竹製歯ブラシとは違い、プラス・ウルトラのハンドルには炭化加工が施されていない。炭化加工で仕上げると生産スピードが上がるが、歯ブラシが生分解されるまでの時間は長くなってしまう。
そこでプラス・ウルトラでは、炭化させるのではなく、過酸化水素水で竹を防水し、口に入れても問題のないワックスでコーティングをして、水濡れによる損傷を防いでいる。
歯ブラシのハンドルには「ハロー、ハンサムさん」「磨いて、笑顔で、さあもう一度」といったポジティブなメッセージがあしらわれている。
アメリカ歯科医師会が3カ月ごとの歯ブラシ交換を推奨しているため、プラス・ウルトラでは1年間分として4本入りのパックを24ドルで販売している。
また、慈善活動を担当する同社の部署を通じて、ホームレスのシェルターや学校、ユニセフをはじめとする各種機関などに歯ブラシを寄付しているという。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Sheila Marikar/Contributing writer、翻訳:半井明里/ガリレオ、写真:Accessony/iStock)
©2018 Mansueto Ventures LLC; Distributed by Tribune Content Agency, LLC
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.