【直撃】新産革機構CEOが語る、「高額報酬バトル」のすべて
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個人批判をするのは好きでないし、基本的にNPでそういうことをしたことはない。が、今回だけは言わせて頂きたい。余りにも自分勝手な言い分ではないか。
まず、
"自分が産業革新投資機構に入るときには報酬の提示を受けてからトップに就任したわけではありませんよ。お金が目当てで入ったわけではないんです。”
と言うなら、お国のためという崇高な目的で参加したのだろう。なのに
"9月下旬に経産省から報酬「案」が出されが11月4日に取り消された"
となぜか文句を言う。
"役員や社員たちは、もちろんお金だけが目的ではないと思うけれど、それでも生活の設計を計算してから、転職してきているわけです。”
と一応理由づけるが、9月下旬から11月4日までの1ヶ月ちょっとでそんなに社員が入ったんですかね。しかも今回問題になっている報酬案は、社員ではなくて役員4人のものである。
挙句の果て、
"「報酬の額が減る云々」が不満だったわけではなく、一旦決めたこと、しかも「紙」で提示したことを一方的に破棄された"
のが問題だと言う。ここでは報酬の額が減ることは問題ないと。「紙で」という発想は、もはや昭和の官僚以上に官僚的。しかも決定事項ではなく「案」に過ぎない。
JICは政府がほとんどを出資しており、役員の選任や報酬は、報酬委員会以前に株主である政府が最終的には決めるものだ。
更に、今度は、"報酬を下げることより。出資案件ごとの認可が必要になったことが問題"と言い出す(なんだ、報酬の件は問題じゃないんだ)。
だけど、それこそ、そんな話は同氏が大好きな「紙に書いたもの」で仕切られたものではなく、株主である政府が方針を決めて指示しただけのこと。ファンドとしてやりにくいと言うかもしれないが、これは投資家が納得して投資する民間のファンドじゃない。投資家である国民のお金を2兆円も自由に使わせることの方が異常だろう。国民に対する善管注意義務がある以上、GPの株主たる政府が介在することは寧ろ健全なことであり、投資のトラックレコードを持たない人間が好き勝手に投資するのはやめて欲しいものだ。
僕はこの人と仕事をしたこともあるし、この人がどういう類の人か良く知っている。今回のような傲慢な態度、なりふり構わぬ恫喝は彼のいつも通りのやり方だということも知っている。
(14:00 7:00の原文の字句を2,3修正しました)
注目のコメント
大切なメディアリテラシーは発言者の立場を理解することだと思っています。安東さんと田中さんの間で確執があったというのはよく聞かれる話です。
https://facta.co.jp/blog/archives/20130419001191.html
一方、前にも書いたように、田中さんは当社アドバイザリーボードにもいらしていたので、私にもバイアスがかかっていることは申し上げておきます。田中さんは怖い人ですが(そこは否定しません)、弱い立場にある人には優しい人だと思います。普段話しをしていて、田中さんがズレているなと感じることはあまりないです。
コメント見ているといくつか論点があると思います。
1. そもそも国のお金でファンドをするべきなのか
2. 当該ファンドの代表者の資質について
3. 当該ファンドの報酬はどうあるべきか
4. 本件報酬決定プロセスがどうだったのか
1について。私も微妙だなと思っていますが、世界中のファンドのLPや投資家であるテマセクやADIAも国のお金ですね。なので、私としては答えは留保しています。
2について。官製ファンドにおいて、代表者が一番大変な資金調達活動をしないのは事実ですが、ファンドが失敗したら評判に傷がつくことは間違いないので、そのリスクは取っています。
また「GP共同出資をしていないので、自分のお金をリスクにさらしていない」という点についても、民間ファンドでもマネジメントフィーの一部をGPらの報酬にして、それで共同出資をする(よって本人の手金はあまり出ない)のは少なくないように思っています。だから、その指摘もどうなんでしょう。
「トラックレコードもないのに」という指摘は、皆さん最初はトラックレコード無いところから始めますよね。なお、田中さん時代のMUFGは色んな買収案件をやっていますので、PE的なトラックレコードはあると判断してもいい気はします。テクノロジーは不明です。
3について。国によって違うので分かりませんが、民間に比べたら決して高くないという印象です。海外政府系ファンドの人々の報酬が分かったらいいのですが。
4についてはよく分かりません。ただ、JICはすでに民間セクターから多くの人を呼んでしまっているので、今回のような変更は辛いし、社長として戦うのはあるべき姿だろうと思います。この記事や一連のニュースに対するコメントを見ていると、本件は、そもそもの官民ファンドの是非、選任プロセスの是非、報酬額決定プロセスの是非、報酬水準の是非、その他の制約の是非といった論点が入り混じっているように感じます。
目の前の対立構造で割り切るのではなく、そうした論点整理をする方が、より建設的でしょう。
JICについては、INCJでの経験を踏まえ、案件ごとの認可が不要である点が特色であると認識していました。この前提が変わったのだとすれば、これは報酬額の多寡以上に大きな変更でしょう。意思決定プロセスや投資のスピードが全く異なってしまいますからね。
事実上、アセットマネジャーではなくアセットオーナーが投資の意思決定をするということであれば、「官民ファンドの是非」を論じる以前に、そもそもこの仕組みは「ファンド」などではなく、「エクイティ型助成金プログラム」とでも呼ぶべき構造ではないでしょうか。
言葉遊びに聞こえるかもしれませんが、実態として業態の変更を迫られているに等しく、報酬額の多寡以上に大きな問題なのではないかと感じます。
報酬の適正水準にしても、ファンドマネジャーとしての水準なのか、助成金プログラム運営局としての水準なのか次第では次元が異なり、むしろサブの論点。議論が噛み合わないのは当然です。
この後、経産省側の考えが示されるのか、気になるところですが、報酬水準の是非について論じるよりも、この仕組みが「ファンド」なのか、そうではないのか、設計思想を示すことの方がより本筋だと感じます。
いずれにせよ、この議論とは関係なく、企業には資金ニーズがあり、また「ファンド」と位置づけるのであれば、投資資金が働いていない状態にあります。産業金融、資産運用の両面から見て、時間の遅れは国富の損失です。田中氏のコメントにに賛意と反対意見が一つずつある。
>うちの機構に入ってくれた役員や社員たちは、もちろんお金だけが目的ではないと思うけれど、それでも生活の設計を計算してから、転職してきているわけです。
そう!経産省の対応が信義にもとることは明らか。これは男として(女であっても)許さない方がいい。世耕大臣が辞任しても全く違和感はない(もともと不適任だし…)。
他方、
>機構の意義に共感したから、快諾したんです。
という田中氏の発言は考え直す方がいいのではないかと思う。官製投資ファンドに社会的な存在意義は無い。はっきり言って、無い方がいい。よほどの後進国でもない限り投資は民間でやるべきものだ。受け入れ側にとって、民間の条件よりも機構が悪い条件で投資するなら機構に存在意義が無いし、民間より好条件で金を出すなら民業圧迫だろう。こんな下らない組織・資金は無い方がいい。
田中氏のケンカでこの機構が無くなるなら実に素晴らしい!