革新投資機構に休止案、経産省が予算要求取り下げ検討
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官民ファンドの存在意義に対する批判や「べき論」は既に多数出ていますし、傾聴すべき内容だと思います。そのうえで、敢えて違う視点から。
1つは報酬額設定の手続きに関する点。自身のキャリアを投げ打って革新投資機構の設立に身を投じた人たちから見たら、一連の対応はたまったものではないでしょうし、「はしご外し」と言われても仕方がないように映ります。
どこまで拘束力のある提示だったのかはさておき、一般人に置き換えて考えてみれば、入社した途端、面接時に聞いていた給与額の4分の1を言い渡されたに近い状況ではないでしょうか。
報酬額に対する批判は従前にも散々あったはず。そうした批判に応えるのであれば、最初から空手形を切るべきではなかったでしょうし、そうした批判を受けてもなお、必要だと考えたのであれば、この期に及んで白紙撤回すべきではないでしょう。省内でも意見が二分しているのかもしれませんが、「政争は水際まで」です。
これは官民ファンドの是非とは全く違う次元の話。
もう1つは、もし仮に革新投資機構の活動を休止したところで、設立趣旨である「未来の産業の育成」の必要性がなくなったわけではないということ。
予算要求に向けての議論をしている間にも、それとは無関係に経済は回り続けており、成長に向けたリスクマネーを必要とする企業は現に存在します。そうした資金需要に、果たして民間だけでも十二分に対応できると考えるのか。結局影響を受けるのは、事業の確立に四苦八苦しながら挑み続けている企業です。
従来案通り、官民ファンドの路線を貫くのか、別の手法を検討するのか、あるいは「産業の育成」という看板そのものを下すのか、対応次第では、日本の新興企業の活動全体に相応のインパクトがあることでしょう。あまり悠長に構えてはいられないと考えます。所管官庁と経営陣の信頼関係が損なわれたり、ガバナンス構造に疑義が出たりと、今後の運営に支障が懸念される事態になっていると思われますが、一方で、政策目的に沿って設立された官民ファンドである以上、それをないがしろにしたまま「休止」というのは違和感があります。
官が関与した対応が必要とされた政策目的が放置されるのであれば、それによって損なわれる公益がどうなるのかが懸念されますし、やはり民間で対応ということであれば、そもそも設立の際にも賛否あったように、何故に官民ファンドの必要があったのかという議論が再度盛り上がるように思います。