[沼津市(静岡県) 14日 ロイター] - スルガ銀行<8358.T>が14日発表した2018年4―9月期連結決算は、最終損益が985億円の赤字だった。投資用不動産向け融資を案件ごとに自己査定した結果、貸倒引当金を1860億円まで積み増した。2019年3月期通期は、250億円の最終黒字予想から一転、975億円の赤字に転落する見通しとなった。

スルガ銀は、シェアハウス関連融資2537億円のうち、1903億円を不良債権に分類。このうち、担保・保証による保全がない1584億円に対し、1362億円の引当金を積んだ。

9月末の自己資本は2197億円。自己資本比率は6月末時点の12.14%から8.65%に低下したが、国内基準行に求められる最低水準4%は大幅に上回った。

一方、9月末の預金残高は3兆4159億円。7―9月期の減少幅は4556億円となり、約2000億円減となった4―6月期の倍以上の減少となった。

スルガ銀の有国三知男社長は記者会見で、現預金を5300億円保有していることを挙げ、手元流動性に問題はないと強調。「日銀と緊密に連携し、万全の体制をとっている」とも述べた。

業績予想の下方修正を受け、スルガ銀は中間配当を無配にすることを決めた。従来は1株当たり10円50銭の配当予想だった。期末配当は従来予想10円50銭を未定に変更した。

スルガ銀は12日、岡野光喜・前会長ら9人の現旧経営陣に対する損害賠償請求を静岡地方裁判所に申し立てた。これに伴い、役員退職慰労引当金を取り崩し、今回の決算で23億1100万円の特別利益を計上した。

有国社長は会見で「一連の問題では、創業家の影響力が強すぎ、ガバナンスが緩んだことが原因だと指摘されている。資本関係を早期に断ち切ることはスルガ銀行の再生に必要なことだ」と述べ、創業家に保有株を早期に売却するよう促す方針を示した。

*記者会見の内容を追加しました。

(和田崇彦)