粒子状物質量を約30%削減の試作品

スモッグの被害があまりに深刻化しているインドでは、政府が「汚染物質の排出量が少ない爆竹」の開発に乗り出している。
インド環境森林気候変動省のハルシュ・ヴァルダン大臣は10月29日、ニューデリーでのブリーフィングで、国立の研究機関「CSIR(科学工業研究委員会)」の研究者たちが大気中に排出される粒子状物質(PM)の量を約30%削減した爆竹の試作品を完成させたと発表した。
さらに、商品化されれば、消費者価格はこれまでの爆竹よりも30%程度も安くなると予想されている。ヴァルダン大臣は、「メーカー各社とともに、積極的に開発を進めていく」としている。
しかしこの環境に優しい爆竹は、毎年恒例の祭り「ディーワーリー」には間に合わない。
「光の祭典」を意味するディーワーリーでは、数百万発もの爆竹や花火が打ち上げられるが、それにより冬の空を厚く覆うスモッグの濃度がさらに悪化し、ニューデリーをはじめとする、埃っぽく人口密度の高いインド北部の平地にある数々の都市を包み込んでしまう。

焼き畑農業や爆竹、気候条件に起因

インドは、世界でも最も激しい大気汚染に苦しんでいる。焼き畑農業や爆竹、気候条件などに起因するものだ。それでもインド最高裁判所は10月、全国での爆竹・花火の購入や使用にはある程度の制限を課しながらも、その販売に関しては差し止めを取り下げた。
今回の決定は、2017年に下された首都ニューデリーとその近隣都市での爆竹販売全面禁止の判断を覆すものだ。環境活動家たちは、この販売禁止措置が全国に広がることを期待していた。
CSIRの発表によると爆竹の試作品の中には、硝酸カリウムと硫黄を除去することで二酸化硫黄と窒素酸化物の発生を抑えているものもあるという。
ニューデリーの一部地域では10月29日、複数の地点で大気中の有害物質PM2.5濃度が1立方メートルあたり785マイクログラムにまで達した。これは、米国大使館の空気質指数によれば「危険」とされるレベルだ。
2016年にWHOが発表したランキングでは、PM2.5の濃度から見た世界で最も大気が汚染されている30都市のうち、14都市をインドの都市が占めていた。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Anindya Upadhyay記者、協力:Iain Marlow記者、翻訳:半井明里/ガリレオ、写真:©2018 Bloomberg L.P)
©2018 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.