犬の筋ジストロフィーで遺伝子治療が成功、次は人間の番になる?
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注目のコメント
以前ご紹介した論文がWiredでも記事になっていたので再掲させて頂きます。
https://newspicks.com/news/3295912/
今回のWiredの記事は、競合である Editas Medicine や Crispr Therapeutics、論文のラストオーサーのエリックオルソンが手がけるベンチャーの資金調達周りの情報など、バランス良く入っていて良い記事でした。
今回は難病にも指定されている筋ジストロフィー(デュシェンヌ型:DMD)の犬のモデルをCRISPR/Cas9で “ゲノム編集治療” した報告です。記事の結びにもあるように人間に適応するには課題が山積みです。少しでも目的の場所以外が編集されると危険だからです。(目的外のところを編集してしまうことをオフターゲットと呼びます)大切な遺伝子が逆に書き換えられて他の病気を引き起こしてしまっては元も子もありません。オフターゲットに関しての課題は以前のコメントにポイントを書きましたのでよろしければ上記のリンクを是非ご覧ください。
Gene editing restores dystrophin expression in a canine model of Duchenne muscular dystrophy.
Science 30 Aug 2018
http://science.sciencemag.org/content/early/2018/08/29/science.aau1549.full難易度の高い筋ジストロフィーの遺伝子治療が犬に対して成功したというニュース。当然、人間への適用がいつになるのかが気になるだろう。さらに、その技術の進展速度から、その他の難病の治療にも期待が膨らむが、希少疾患は利益性が低いために大手製薬会社は避けて通る、という構造的な問題が存在する。
その打開策として、ベンチャーフィランソロピーと呼ばれる、非営利組織や社会的な活動を行う企業に資金を提供することで公共の問題解決を図るモデルが、現時点では有望とされている。
従来型のモデルではプロジェクト初期段階の資金調達が難しいような場合に、NPO組織の存在が鍵になる。
価値を生み出すスキームが多様化することは好ましいし、本当に困っている患者及び周辺の人たちが行動する道筋がある、という点で素晴らしい。