【解説】サウジ記者殺害で中東の力関係はこう変わる

2018/10/30

疑惑で失墜した皇太子の立場

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、イスラエルにとって実にありがたい存在だった。
ムハンマドはイスラエルの「宿敵」でもあるイランと真っ向から敵対し、イランの最高指導者を「中東の新たなヒトラー」と切り捨てた。パレスチナ人の心情に配慮することなく、ドナルド・トランプ米大統領の和平案をパレスチナに押し付けることができる人物と見られていた。
さらに、サウジアラビアとイスラエルには正式な外交関係がないにもかかわらず、皇太子は両国の間に利害関係の一致があると、堂々と語っていた。
ところが今、反体制派のサウジ人記者ジャマル・カショギの殺害をめぐってムハンマド皇太子の関与疑惑が浮上し、サウジアラビアは対処に追われている。