恐怖心やプライド、居心地の悪さから、助けを求めるのをためらってしまう人もいるが、成功者は人に助けを求める方法を知っている。この記事では、気持ちよく助けを求め、それを得るための方法を紹介しよう。

自分ひとりの力でビジネスを成功させることはできない

先日、同僚から助けてほしいという電話があった。最初のやりとりは、彼女にとっても私にとっても気まずいものだった。彼女の話はとりとめがなく、要領を得なかった。その声から、彼女が居心地悪く思っていることは明らかだった。緊張や、若干の恥ずかしさも感じられた。
話はわかったが、正直、私は心のどこかで不安を少し感じていた。私は彼女に、遠回しな言い方はやめて、単刀直入に要点を話してほしいと思った。結局、切り出したのは私だった。「ねえサリー、あなたは私の助けを必要としているの?」
2人で話し合った結果、彼女の問題に対する現実的な解決策は、30分もかからずにいくつか見つかった。彼女も私も満足していた。私が気分爽快だったのは、私が好感を抱き、尊敬する人物に力を貸すことができたからだった。サリーがほっとしたのは、彼女の問題がもはや解決したも同然だったからだった。
誰もが助けを必要としている。とくに起業家はそうだ。自分ひとりの力でビジネスを成功させようと思っても、それは無理な話だ。
にもかかわらず、助けを求めたがらない起業家が多すぎるように思う。主な理由は断られることが怖いからだが、理由はほかにもある。以下の点を頭に入れて、断わられることへの恐怖心を抑え、必要な助けを得る確率を高めよう。

1. 人は相手を助けたいのだと理解する

研究者や神学者、指導者らは口を揃えて、ほかの人を助けることでより大きな目的が得られ、自分に満足感も得られると言っている。人は人を助けたいものなのだ。一部の研究が示しているように、その本能は生まれつき人に備わっている。
あなたを助けるチャンスを、ほかの人たちに提供しよう。アプローチが正しければ、全員が充実感と満足感に浸れるはずだ。

2.「透明性の錯覚」に陥らない

あなたは、自分が助けを必要としていることは誰の目にも明らかだと思い込んでいるかもしれない。だが、そうではない。ほかの人たちは皆、自分のニーズを満たすことで手一杯なのだ。
私たちは生まれつき利己的だと、言っているのではない。ほとんどの人は「今していることをやめて、誰々を助けてあげるには、どうすればいいのだろう」などと思いながら、その日を生きているわけではないのだ。
「いま自分が抱えている困難は、ほかの人たちもわかっているはずだ。だから、向こうから助けにきてくれるはずだ」という思い込みは、心理学では「透明性の錯覚」と呼ばれている。
私もよくクライアントから「自分が助けを必要としていることは、まわりにいる誰かがわかっているはずだ。だから、自分から助けを求める必要などないはずだ」という思い込みを耳にする。
助けを求めよう。そうすれば人生はもっとシンプルになる。他人の心を読める人などいないのだから。

3. 誰もあなたを嫌ったり、軽蔑したりしないと知る

同僚から助けを求められたとき、私は彼女のことを軽蔑したりなどしなかった。誰にでも、どうにもならないときというものはあるからだ。
私はただ、もっとストレートに、もっとリラックスして話してくれればいいのにと思った。彼女が醸し出していた違和感は、場の空気をぎこちないものにしていた。
私は彼女に、助けてもらえるのだろうかと勘ぐるのではなく、もっと私を信頼してほしかった。彼女が醸し出していた違和感は、単純な依頼をややこしく理解し難いものにしていた。
遠回しな言い方をしたり、過度に申し訳なさそうにしたりするのはやめよう。「ご迷惑であればもちろん結構です」などと言って、相手に断わる機会を何度も与えるのも避けよう。思いやりと尊敬を持って相手に接し、もし助けてもらえなくてもそれを受け入れると伝え(一度だけ)、単刀直入に話を切り出そう。

4. 事情をすべて明確に伝える

くどくどと長話をし、相手から救いの手を差し伸べてくれるのを待つのではなく、いったい何が必要なのかをちゃんと伝えよう。相手から救いの手を差し伸べてくれたほうが気が楽なのはたしかだが、その責任を相手に負わせるのはフェアではない。
相手のためにも、当て推量をプロセスから取り除こう。事情をすべて話せば、成功のお膳立ては整う。うまくいけば、必要な助けを得られるだろう。

5. なぜその人を選んだのかを相手に伝える

なぜあなたがその人を選んだのか、その理由を相手に教えたほうがいい場合もある。私は先日、仕事仲間に電話で「私が運営するオンラインコースの改良を手伝ってほしい」と頼んだ。そして、複雑に入り組んだものを単純化できる彼の優れた能力を話題にした。
彼が抵抗感を示し、そうしたことは私も得意ではないかと言うのは予想していたので、自分のためだと難しい場合もあると言って先手を打った。あらかじめこのように言っておくことで私は、彼が口にするであろう断わりの言葉を封じ込めたのだ。
さらに彼は、彼が持つ多くのスキルのなかのどれを私が当てにしているのかが明確に理解できていた。
意中の人がいるときは、そのことを相手に率直に伝えよう。きっとその人は、あなたの所見に気をよくし、そのおかげで話し合いはスムーズに運ぶことだろう。

6. 好意を「取引」にしてはいけない

好意を受けたら、そのお礼をすると申し出ると、それが裏目に出ることもある。何よりもまず、そうした行為は相手に狡猾と受け取られてしまいかねない。返礼を申し出られたら、ノーとは言いにくくなることは誰もが知っているからだ。
ノーと言う選択肢を相手から奪うようなまねはしてはいけない。当人は自分の気を楽にするために返礼を申し出ているのかもしれないが、テーブルのうえに賄賂を置かれると、誰でもいやな気分がするものだ。
お礼に何かしたければ、相手の気分を害さないようにしよう。少額のギフトカードや花など、あなたの感謝の気持ちを込めたものなら何でもいい。相手の善意の行為が終わるのを待ってから、お礼に何か贈ろう。
あるプロジェクトで友人を手伝ってあげたときのことだった。手伝いが終わると、私は「家を1日空けるとき、ときどき犬を散歩に連れていってくれる人を探してるよね?」と言われた。「この次、散歩の人手がいるときは僕に電話して」と彼は言ってくれた。私は感激し、またひとりヘルパーが見つかったことにほっとした。
友人や同僚、家族があなたを助けるのは当然だ。彼らはあなたを尊敬し、あなたのことを大切に思っているのだから。あなたに手を貸すチャンスを彼らにあげよう。そうすることで、みんながハッピーになれるのだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Marla Tabaka、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:takasuu/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.