研究に裏づけられた基本戦術を紹介

たいていの親は、何よりまず子どもを安全に育て、そして成功する子に育てたいと考えているに違いない。
それは、方針をもって真剣に取り組むべき仕事だ。いくつかの研究に裏づけられた、子どもたちを成功の軌道に乗せるのに役に立つ習慣をご紹介しよう。

1. 権威のある子育て

子育てにはルールを設けてそれを守らせるようにするが、その態度は暖かいもので、親がなぜそう期待しているかについて十分に説明する。こうした態度は「権威のある子育て(authoritative)」と呼ばれる。
こうした子育ては「権威主義的な(authoritarian)スタイル」とは異なる。心理学者によるウェブサイト『PsyBlog』によると、権威主義的なスタイルの子育てとは「子どもと相談せず、ただ高い理想を負わせる。そして子どもの成長を育むのではなく、罰を与える」やり方だという。
学術誌『Journal of Adolescence』に発表された研究によると、このような厳しい子育ての姿勢は、思春期の子どもの非行につながる可能性があるという。10代の子どもは、権威を振りかざして自分の意見を曲げない親を正当性に欠けていると受け止め、反抗的になりやすい。

2. 子どもと旅行をする

子どもを新しい文化や場所に触れさせると、通常の環境では十分に使われない可能性がある脳の2つの部分を鍛えることになる。『Telegraph』紙では、この2つのシステムに関する研究の概要を説明している。
この記事によれば、子どもが旅行をすることで、神経科学者ジャーク・パンクセップが「遊び(Play)」と「探求(Seeking)」のシステムと呼ぶ、2つのシステムが活性化される。認知機能、社会的知性、注意力、意欲、記憶力など、さまざまな機能を担う「前頭葉」の成長と成熟を促すのだ。

3. 子どもとトランプをする

専門家による研究結果から、トランプのゲームをすると算数の能力、記憶力、戦略的思考などが向上し、会話力がつき、家族のつながりを強められることがわかっている。また、ゲームの途中で言葉のやり取りがあり、ジョークや「はったり」などが交わされるため、社交術も身につく。
ミネソタ州セントポールにあるミネソタ大学で家族社会学を専門とするウィリアム・ドハティ教授は『Wall Street Journal』紙にこう語っている。
「親と競争すること、そしてときには親に勝つことは、子どもにとって象徴的な意味で重要だ。子どもは『自分の時代が来ている』という感覚を得る。親の言いなりではないという気分を少しだけ味わうのだ」

4. 定期的に体を動かす

これには理由がいくつかある。まず、親が健康であれば、子どもを正しい方向に育てるために必要な身体的・精神的エネルギーを持つことができる。2つ目は、親が体を動かすことで子どもの手本になる。親が運動するのを見て育った子どもは、自分も運動することが多い。
そして、3つ目。科学誌『Cell Reports』に発表された論文によれば、男性が運動をすると細胞レベルで精液に影響があり、それが子どもに伝わって、子どもの学ぶ力や脳の機能が良くなるという。

5. 子どもと一緒に食事をする

「米国小児科医師会(American College of Pediatricians)」によると、普段、家族で一緒に食事していると、子どもは危険性の高い否定的な行動を取ることが少なくなるという。
家族で食卓を囲むと、子どもは生活に規則性を持つことに安心感を覚えるし、親は子どもの心の状態や行動、友だちとうまくやっているかなどを知るきっかけになる。また子どもは、親が敬意を持って会話をし、問題を解決してくれたり、共感してくれたりしていると感じることができる。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Christina DesMarais/Contributor, Inc.com、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:Choreograph/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.