B2Bの野菜販売アプリ「メイツァイ(Meicai:美菜)」が、新たに8億ドルの資金調達を行なったとされている。タイガー・グローバルとヒルハウスが、メイツァイを支援した模様だ。

70億ドルの評価で資金調達に成功か

農家が野菜をレストランに向けて販売することを手助けする中国のベンチャー企業「メイツァイ(Meicai:美菜)」は、タイガー・グローバル・マネジメントとヒルハウス・キャピタル(高瓴資本)が率いる資金調達ラウンドで、少なくとも6億ドルを調達した。この件に詳しい関係筋の情報だ。
詳細は非公開であるためこの関係筋は匿名を希望したが、調達した資金は、中国の断片化した食品調達市場でより大きいシェアを獲得するための拡大に費やされる予定だという。
この件に詳しい人物によると、メイツァイは約70億ドルの評価額で約8億ドルを調達した。同社は、1月に行われた前回の資金調達ラウンドでは約28億ドルと評価されたと言われている。
「美しい野菜」という意味のメイツァイは、2014年にリュウ・チュアンジュンが立ち上げた。ロケット科学者の同氏は、中国における約1000万軒の中小規模レストランに向けて農産物を供給することを目標に掲げている。
顧客であるレストランは、スマートフォンアプリを使用して、チンゲンサイや花椒(四川山椒)などの特殊な野菜を直接農家に注文できる。既存の仲介業者をなくすことで、既存の卸売りの概念を打ち壊した。
2017年末現在、同社は約100都市に展開し、売り上げは100億人民元(約1625億円)を上回る。
メイツァイとヒルハウスに資金調達についてのコメントを求めたが、メールで断られたた。タイガー・グローバルの社外PR会社も、メールによるコメント要請に返答しなかった。

天体物理学を学んだ科学者が創業

今回の資金調達は、2018年の中国ベンチャー企業のなかで最大規模だ。
ウーバーのような長距離輸送サービスを提供する、中国内での最大規模のアプリ「満幇集団(フル・トラック・アライアンス)」は4月に19億ドルを調達した。中国のソーシャルEC企業「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」も同月、IPOに先立って10億ドル以上を調達した。
創業者であるリュウは36歳。山東省の農村部で生まれ、家のトウモロコシ畑の世話をよく手伝っていた。
メイツァイによると、同氏は村で大学に進学した数少ない人物の一人として、中国科学院で天体物理学を学び、宇宙船「神舟」を含む中国のロケットプロジェクトに取り組んだという。
北京を拠点とするメイツァイの既存の投資家の中には、ジェネシス・キャピタル(Genesis Capital)やGGVキャピタル(GGV Capital)、チャイナ・メディア・キャピタル(China Media Capital)が名を連ねる。
中国株式市場が低迷し人民元建ての資金調達が停滞するなかでも、一流の中国企業には依然として高い評価がつけられるということが今回の資金調達で明確になった。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Lulu Yilun Chen記者、翻訳:新多可奈子/ガリレオ、写真:©2018 Bloomberg L.P)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.