投資のものさし 資本コストを学ぶ(中) ROEとの差 カギに
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ROEが高いほど投資リターンがでる、というわけではない点に注意。
ROEで分かることは、どういうBSの構成で利益を生んでいるか。
そして、ROEが資本コストを下回っている会社は、「経営の通信簿」的には赤点。債務と違って株はリターンが不確実だからこそ高いリターンを求める性質の資金で、そのリスクに対して期待されるリターンを産めていないということ。
ROEが高いこと・低いことはほかの投資家も知っていて、株価もそれに対応している。ROEが高い会社は株価が高い=PBRも高い。だから、ROEが高い企業に投資をしたからといって、既に織り込まれている可能性が高く、すぐに儲けが出るわけではない。
ではどうしたら投資としてリターンが出るのか?
大きくは二つあり、一つ目はROEの変化(利益の増加か自社株買いによる株主資本の減少)を先に予想する。これは会社の発表や事業・外部環境を分析することによるもの。例えば世の中の変化するニーズに対して、これはもっと売れるはずといった分析をしたり、アクティビスト投資家が増えているということは会社が資本政策や事業売却などの変化をするのではないかと予想するもの。
もう一つは時間をかけて高いROEとその持続性による再投資効果によるリターンを得る。ROEが高いということは、株主資本に対して毎期出る儲けが多いということで、儲けが多いほうが再投資に回せる金額も大きい。市場規模が十分大きければ、再投資できる額が多い方が成長率は上がる(もしくは株主還元に多く回せる)。その持続性を分析し、市場が例えば3年先の成長まで織り込んでいる(3年このまま成長すればバリュエーションが普通になる)のに対して5年先まで成長を続けると判断をしてその通りになれば5年先まで市場が織り込んだときにはリターンが出る。
市場全体としてはROEが高い方がいいと考えており、それは上記の再投資効果が均すと全体で効くから。
足元は米国・日本・欧州を比較すると、PBRが一番低い日本がPERでは高い(下記スライド49)。PBR÷PER=ROEで日本が一番ROEが低い。日本の相対的に高いPERを正当化するためには、他国よりこれからROEが上がっていく度合いが大きいか、他国のROEの持続性に疑義があるか。
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