限界を自分で決めてはいけない

筆者は20代のかなりの部分を、恐怖にとらわれた状態あるいは恐怖そのものを回避しようともがいている状態で過ごした。あなたも自分に正直になれば、恐怖の回避にどれだけ時間と労力を費やしているかがわかるはずだ。
実際のところ、恐怖は排除できない。恐怖は、進化によって獲得された生き抜くためのツールであり、DNAに組み込まれている。
それでは成功する人、つまり大胆に生きる人がいる一方で、平凡な人生を送る人がいるのはなぜだろう。その理由は、成功している人は恐怖との付き合い方を知っているということだ。
あなたが大胆に生き、そして本当に望む人生につながる大胆な決断を下したいのであれば、自分の恐怖について理解しなければならない。恐怖の力を低下させて、望み通りの結果を得るためにだ。
中途半端な人生を送る余裕があるほど、人生は長くない。あなたを素晴らしい人生から遠ざけてしまう5つの強力な恐怖と、それらを乗り越える方法を伝授しよう。

1. 十分でないことへの恐怖

私たちの社会、とくに消費社会では、自分は十分ではないと感じるようにできている。「昇進さえできれば、会社を売却できれば、100万ドル稼ぐことができれば、メルセデスの車を買うことさえできれば、そうなれば私は十分になるだろう」。私たちはこのような思考を持っている。
こうした思考回路の問題点は、どれだけ金や成功、モノを手に入れても、決して満足できないことだ。心の声が聞こえなくなることはない。家を購入したら、自分の家より大きい家が目に入るようになる。あるいは、家を2つ所有する人が目に入るようになる。そうした思考に終わりはない。
実際は、あなたは今のままで十分だ。自分の外の世界で何かを探し続ける必要はない。この事実さえ受け入れられれば、あなたは自由に好きなことができるようになるだろう。

2. 結末がわからないことへの恐怖

実際のところ、生涯に起きる大部分のことは結末がわからない。それでもあなたは、人生のあらゆる側面で、結末を知らないまま前進を続けている。大胆な行動も、それと異なるわけではない。
たとえば、結果を読むことができないという理由で新しいビジネスを始めない人でも、結末のわからない映画は見ることができる。スポーツはどうだろうか。試合開始の時点では勝つかどうかわからないが、それでもあなたはプレイするはずだ。
大胆な行動が映画鑑賞より難しい唯一の理由は、決断の結果に意味を求めていることだ。あなたは決断の結果に、自尊心やアイデンティティーという意味を求めている。
そうした意味づけを捨てるのは口で言うほど容易ではないが、映画鑑賞と同じように扱えば、大胆に行動できるはずだ。

3. 悪い印象を与えることへの恐怖、あるいは良い印象を与えないことへの恐怖

自分と向き合う時間を取って自分に正直になれば、他者から良く見られること、あるいは悪く見られないことに自分がどれだけエネルギーを費やしているかがよくわかる。
私たちは、自尊心やアイデンティティーを他者の評価に委ねすぎている。それは、意識的かどうかにかかわらず、良く見られるための行動として表れている。
このような考え方を改めるための鍵は、自分の意識の焦点を自分に戻すことだ。自分自身のために生き、自分に正直に行動してみよう。そうすれば、自分の力を他者に与えてしまうのではなく、自分に取り戻すことができるはずだ。

4. 失敗することへの恐怖

新しいビジネスやキャリアに思い切って飛び込むのは怖いものだ。あまり一般的でない道を選択して、大胆に生きるのは怖いものだ。決断が失敗に終わる可能性が少しでもあれば、なおさら怖いだろう。
気づいている人はほとんどいないが、失敗への恐怖は、十分でないことへの恐怖や悪い印象を与える恐怖から始まる。繰り返しになるが、あなた自身(とあなたのアイデンティティー)は、結末から切り離さなければならない。
実際のところ、生涯に起きる大部分のことは結末がわからない。だから、大胆に生きることに集中したほうがいい。

5. やり方がわからないことへの恐怖

考えてみてほしい。あなたは、これまでの人生のあらゆることについて、最初はやり方を知らなかったはずだ。歩き方、話し方、自転車の乗り方、キスのやり方。何も知らなかったはずなのに、あなたはそれらをすべて行動した。起業や転職が例外である理由などあるだろうか。
人生もビジネスもキャリアも「やり方を学ぶ」プロセスだ。だからこそ、多くの人(とくにテクノロジー業界の成功者)はその過程を、より洗練された素晴らしいものにしようと努力する。それは、じつはとてもシンプルなことだ。われわれは、人生で経験するすべてに関して、その過程で「やり方を学んでいる」のだ。
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人間の経験から恐怖を排除することはできない。人は生き抜くため、恐怖を感じるようにつくられている。恐怖が消え去ることはない。恐怖を生み出す心の声も同様だ。
恐怖を打ち負かすための努力や、恐れ知らずになるための努力はやめよう。その代わり、こうした恐怖の中に飛び込み、恐怖への執着を減らす努力をしてみよう。
その向こうには何があるのだろうか。答えは「自分の夢を意識し、大胆に生きるための勇気」だ。まずは5つの恐怖について考え、自分の中の大胆に前進する勇気を探してみよう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Andrew Thomas/Founder, Skybell Video Doorbell、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:Dirima/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.