【川村元気×落合陽一】お金と幸福

2018/10/16
研究、メディア、ビジネスのフィールドで縦横無尽に躍動する落合陽一。映画プロデューサーで小説家でもある川村元気。二人が「お金」を語り尽くす(全4回)
【川村元気×落合陽一】お金とは宗教である

お金持ちとバットマンの共通点

川村 僕が一貫して興味があるのは幸福論です。究極的には、「人間がなにをもって幸せと感じるか」にしか興味はありません。
結局、お金と幸福の関係について言うと、「お金はあってもなくても、そんなに悪くない」というのが結論ですよ。
ただ、お金がなくてもそんなに悪くないと思えるようになるためには、お金を持った人のパターンを見ればいい。
お金を持ったら持ったなりの地獄はあるし、お金がないならないなりの地獄もあることがよく分かる。『億男』は主人公の一男がそういう「地獄めぐり」をしていく物語でもあります。
川村元気(かわむら・げんき)/1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。「電車男」などの映画を製作。11年、優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年『世界から猫が消えたなら』で作家デビュー。140万部の大ベストセラーとなり、映画化。「君の名は」も担当。著書の『億男』が映画化され10月19日に公開
落合 僕の周りの研究者を見ていても、研究費は別として個人にお金があるかないかは別に幸福とあまり関係がないのかもしれないですね。
家族がいるかどうかは関わりあるかもしれないけど、朝起きてから寝るまで研究してたら結局自分に使う時間ないし。
──『億男』の主人公である一男は、宝くじで3億円当たって、不意にお金持ちになるという経験ができました。そうした経験なしに、お金と幸福の関係に気づくにはどうすればいいんでしょうか。