[ロンドン 25日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のプラート専務理事は25日、ロンドンで開かれた会議で講演し、ECBの政策は長期にわたって緩和的であり続ける必要があると述べ、中銀が引き締めを急ぐのではないかとの観測に水を差した。

ユーロ圏経済は引き続き順調で、ECBが年末までに緩和策をもう一段階縮小する軌道に乗っているものの、政策正常化は6月時点の予測より早まることはないと述べた。

現在のインフレの道筋はECBからの十分な支援に基づいているため、正常化は長くゆっくりとしたペースになると強調した。

ドラギECB総裁は欧州議会で24日、ユーロ圏の基調的なインフレの加速は「比較的旺盛」と発言し、賃金の伸びと経済成長は継続すると自信を示した。

一部の投資家はこの発言を政策正常化ペースを速めるシグナルと受け止め、ユーロは買われ、債券利回りも上昇した。

しかしプラート専務理事はドラギ総裁の講演に言及し、「目新しいことは何もなかった」と指摘。「基調(的な価格)には明らかに進展が見られる。しかしプロセスは長く、非常に緩和的な金融状況が条件とされている」と付け加えた。

専務理事はまた、言葉の選択にメッセージが込められているとの見方を否定し、市場の反応は見当違いだと指摘。最初の利上げ時期を2019年第4・四半期とする最近の市場の織り込みはECB理事会独自のシナリオとほぼ一致しているとも述べた。

ECBは今年の年末で2兆6000億ユーロの資産買い入れを終了する計画で、ドラギ総裁は「来年夏にかけて」金利を現在の低水準にとどめる方針も再確認した。

プラート専務理事はさらに、インフレ見通しの下振れにつながりかねないユーロ圏の成長の予想外の落ち込み(グロースアクシデント)を最大のリスクに挙げた。

そうしたリスクの大半は、保護主義や新興国市場の減速といった外的要因によって生じるとも述べ、域内のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は力強くみえると付け加えた。

*内容を追加しました。