【独占】著者・ラルー「日本企業よ、本当の進化をしよう」

2018/9/24
組織の進化論を説いて世界的なムーブメントを起こしているベストセラー『ティール組織』(原題:Reinventing Organizations)──。
発行部数は世界で35万部、日本では5万部(うち電子版が5000部)に達し、日本でも大きな反響を呼んでいる。
NewsPicks編集部は、『ティール組織』の筆者であるフレデリック・ラルー氏に独占インタビューを行う機会を得た。
フレデリック・ラルー(Frederic Laloux)1969年生まれ。ベルギー出身。フランスのビジネススクール「INSEAD」でMBA(経営学修士)取得。マッキンゼーのアソシエート・パートナーとして15年働いた後、独立。現在は、妻、子ども2人とニューヨーク州イサカに住む。5カ国語を操るマルチリンガル(写真:本人提供)
日本企業は実践が早い
──2018年1月に日本で『ティール組織』が発売されて以来、大企業や省庁でもティール組織や、ティール組織の1つとして位置付けられる「ホラクラシー」に関する勉強会を行っています。日本の反響はどう思いますか。
ラルー 日本で私の本が大きな反響を呼んでいることには、驚いています。その反響のうち、どのくらいが流行に乗っかったもので、どのくらいが真に新しい道を歩んでいるのか、興味があります。
──日本で起こっていることは、他国と比べて少し“変”なのでしょうか。
ラルー 日本が変かどうかは分からないのですが、他の国に比べて実践がかなり早いと思いますね。他の国で起こっている変化でさえ、私は結構早いと思っていたもので…(笑)。
今年の6月に、アラビア語の電子版が出たのですが、最初の1カ月で3万部がダウンロードされました。日本と同じくらいすごいことです。
──日本でティール組織への関心が高まっている理由の1つに、組織上の行き詰まりがあると思います。日本の大企業の多くで、終身雇用制度、年功序列の賃金体系、企業内労働組合が残っています。
ラルー こうした仕組みは、長らく日本企業にとって大変有益なものであったと思います。しかし、そのような環境の前提が崩れてきています。
(iStock/AsianDream)
今日では、日本型の経営を採用する組織は、極端に長い労働時間を強いることなしに生き残れません。だから、あまり持続性のあるものには思えません。
周りの環境が複雑化する時、その複雑さに適した内部構造が組織に要求されます。
競合相手がトラクターを使用している時に、水牛で畑を耕すことはできます。しかし、一日中、いや夜中まで働かなければ、競合相手に追いつけないでしょう。