[東京 20日 ロイター] - 日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車<7203.T>社長)は20日の会見で、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉について、アメリカ、メキシコ、カナダの「3カ国協定を前提にバランスの取れた形で維持されることを望んでいる」と述べた。

豊田会長は、現在の自動車メーカー各社の北米事業は「NAFTAの枠組みが前提にある」と説明。自工会は発表資料の中で、ルールが変更されれば「事業計画に影響する可能性がある」との見解を示した。

米国が自動車や部品の輸入を巡り通商拡大法232条に基づいて調査を行っていることに関して自工会は、日本からの輸入車や部品に追加関税が課された場合、日本での生産や既存のサプライチェーンへの影響が懸念されると指摘した。同法の下、安全保障上の脅威と判断されれば、米国は関税引き上げなどで輸入を制限することができる。

<自動車税「世界一高い」、今年こそ抜本的な税制改正を>

一方、自工会は同日、2019年度の税制改正に向けて自動車関連の税負担軽減を求める要望書を公表した。豊田会長は、日本の自動車ユーザーは「世界一高いレベルの税金を負担」しており、国内で自動車を保有するには自動車税が「あまりに高すぎる」と批判。「今年こそ抜本的な税制改正に取り組んでいきたい」と意欲を見せた。国際水準に近い軽自動車税を目安として取得、保有、走行(燃料)の各段階で計9種類、税額8兆円に上る複雑・過重な税体系の見直しを求めた。

電動化や自動運転などの新技術の登場、新しいモビリティ社会を牽引すべく自動車政策を大きく変更する中国の積極姿勢、米国を中心とした保護主義の台頭などを念頭に、豊田会長は「自動車や自動車産業そのもののあり方が大きく変わろうとしている時代に、従来の延長線上で自動車税制を議論していては競争力・雇用維持力のある自動車産業であり続けるのは難しくなる一方だ」と危機感をあらわにした。

来年10月からは消費税率が8%から10%へ引き上げられる予定となっている。自工会は、消費税が10%になった場合、国内自動車市場が約30万台下振れするという三菱総合研究所の試算を紹介。これまでも消費税率が上がるたびに需要が戻らず、国内自動車市場は縮小を続けてきただけに、ユーザーの税負担軽減実現を強く要望していく方針。

*内容を追加しました。

(白木真紀 編集:田中志保)