【独占スクープ】テスラ、ギガ工場「量産地獄」の全真相

2018/9/17

荒野に「厳戒工場」が出没

カメラを取り出した瞬間、明らかに周囲の雰囲気が一変した。
シリコンバレーから飛行機で1時間。かつて「ゴールドラッシュ」で栄えたネバダ州のリノに到着し、そこから車で20分不毛の地を走ると、異様に巨大な工場が見えてくる。
ギガファクトリー。
イーロン・マスク率いるテスラと、日本が誇る電機メーカーのパナソニックが、総額約5500億円をつぎ込んで建設した世界最大の電池工場だ。巨大さのあまり、設計時に地球の丸みを考慮にいれなければならなかったほどだ。
だが、荒野に屹立(きつりつ)する無防備な巨大工場にもかかわらず、テスラは厳重に、この工場のセキュリティに神経をとがらせている。記者が公道から外観を撮影しようとしただけで、いきなりパトロールカーが近づき、有無を言わさず写真の削除を要求された。
物々しい雰囲気のギガファクトリー(写真:池田光史)
その警戒レベルは、同じテスラの車体工場(フリーモント)が所有者向けのツアーやマスコミへの開放を行っているのと比べると、雲泥の差だ。
逆にいえば、それだけこの工場が、テスラの「心臓部」だということだ。
イーロン・マスクをめぐる一連のスキャンダル報道は、このギガファクトリーで作られる電池の量産が難航していたことに端を発し、今も、その内情はベールに覆い隠されたままだ。
NewsPicks編集部は、この巨大工場に出入りするテスラ幹部やパナソニック幹部ら、計10人に接触し、その最先端の情報を入手した。メディアで喧伝(けんでん)されているのとは、様相の異なるその全貌をお届けする。

イーロン「メール連打」の理由

「お前のところの電池が足りないから、車が作れないじゃないか」