自動運転車のブレーキは“摩擦に頼らない”
コメント
注目のコメント
摩擦には頼らないが、MR流体の磁場印加時の降伏力によるせん断応力には頼るってことですね。
MR(磁気粘性、Magneto-Rheological)流体は、強磁性体粒子をシリコンオイルなどの粘性流体中に界面活性剤などで分散させたもので、磁石を近づけるとスパイク状になるなどの特徴があり、おもちゃなどにも使われているので見たことがある方もいると思います。
磁場がない状態では、媒質(この場合はシリコンオイル)の性質に従ってニュートン流体(水、アルコール、気体、などのようにずり速度に依らず粘性が一定)として振る舞いますが、磁場をかけると、流体中の磁性粒子が磁場方向にクラスタを形成し、そのクラスタを破壊するようにせん断応力が発生します。従って、粘性が上がるというよりも、ある程度の力をかけないと流動しない降伏力をもつ「ビンガム流体」(非ニュートン流体の一種で、塗料やケチャップなど)として振る舞い、磁場を強くするとその降伏力が上がることによってそのせん断応力が上がる仕組みです。
MR流体使ったブレーキは、80年代から既にロボット用のアクチュエーターなどで製品例があり、MRダンパーやMRサスペンション、MRクラッチなどもあります。LOAD社(米)やERテック社などのメーカーがあります。
さて、暁ブレーキのMR流体ブレーキは、少なくとも2年前には発表されていましたね。
鈴木智幸さんが誤解ではないかと指摘されていますが、記者が理解しているかはともかく、書かれていることは間違っていないと思います。
モーターやギアがないという話は、電動ブレーキとの比較で説明されていていますし、油圧ブレーキの応答速度が比較的遅いというのもその通りだと思います。
MRブレーキの方が応答速度が速く、ABSなどの制御もやりやすいでしょうから、より安全性が高まるということは言えそうですね。あとはコストでしょうが、カーシェアの時代では自動車の航続距離が伸びて、メンテナンス頻度を下げることが重要となるので、ディスクブレーキに比べて耐用年数が高いのであればコスト競争できるのかも知れません。
ただ、これ自体は回生ブレーキではないのでエネルギーの回収は出来ませんが、一般に回生ブレーキは制動トルクが1桁弱いので、MRなりディスクなり、なんらかのブレーキはまだまだ必要そうです。
追記2
油圧を電動にしたブレーキ曙ブレーキがずっと開発していて、モーターショーで展示があったり(①)、過去にPicksでも話題になった(②・③、特にNakanoさんのコメントをご覧いただきたい!)。
①https://clicccar.com/2017/11/04/528072/
②https://newspicks.com/news/1715338
③https://newspicks.com/news/1717803
<追記>コメント欄が厚い!熱い!!皆様、有難う御座います~<追記終>〈追記〉
Saitouセンセ
確かに電動車なら回生ブレーキかもしれませんね。
また、他の方も仰ってますが、ABSユニットによる制御も含めたシステム全体を指してるかもしれませんね。
大場紀章さん
解説ありがとうございます。
仰る通り、この記事そのものに間違いは無いように思います。
磁性体の特性で粘性特性を変えてダンピングする機構は以前からありますね。クルマだとショックアブソーバーで実用化されてます。(マグネティックライド他)
圧力伝搬より電気信号での伝搬の方が速いのも理解してるつもりです。正確に言えば、ブレーキパッドとディスクのクリアランスや変形も反応速度のラグにはなります。
ただ、比較対象としている電動ブレーキがどのような物を指しているのかが疑問でして。
クルマのパーキングブレーキは電動化が進んでおり、そちらなら機構として理解できるのですが、コレは駐車時に使用する為細かい制御は不要です。
細かい制御が必要なのは減速で使用する主ブレーキであり、現時点で電動(バイワイヤリング)のシステムは記憶にありません。
いずれにせよ、興味深い内容ではあります。
回生ブレーキのように、減速時の運動エネルギーが回収できる仕組みまで行けるといいですよね(ブレーキは運動エネルギーを熱に変化する機構で、熱は捨ててますから)。すると電動車で良さが出てくるかと。
〈完〉
これ、聞き手が誤解してませんかね。
自動車の油圧ブレーキは、単なるブレーキ液によるピストンの圧力伝搬です。
途中にモーターもギヤもありませんし、応答遅れもありません。
『曙ブレーキ工業が着目するのがMR流体ブレーキの反応の早さだ。油圧ブレーキの場合、「機械的な応答遅れなどがあり、20ミリ秒ほどかかってトルクが上がる」(道辻主任研究員)。だが、新ブレーキはモーターやギアがないことで「2ミリ秒くらいで反応する」(同)という。』