[ブエノスアイレス 3日 ロイター] - アルゼンチンのマクリ大統領は3日、大豆輸出に対する新たな課税や歳出の大幅カットなどを含む緊急の経済対策を発表した。国際通貨基金(IMF)の500億ドルに上る融資プログラムを加速させるため、来年度予算の均衡化を目指す。

それによると、来年度の財政赤字縮小分のうち約半分は歳出カットで実現。また歳入増については、ほぼすべてを輸出品への課税で賄う。一次産品の輸出には1ドル当たり4ペソ、その他の輸出品については1ドル当たり3ペソを課すという。

マクリ大統領は新税について「より質の高い雇用を生み出す輸出拡大という、われわれが育成したいことに反する」と認めた上で、緊急の対策だとし、経済が安定を取り戻せば廃止すると明言した。

アルゼンチンは大豆かすと大豆油の輸出世界トップで、大豆とトウモロコシの出荷でも世界有数。農家や輸出業者は為替相場の動向から売り時をはかるため、新税導入でアルゼンチンからの穀物出荷が遅延する可能性もある。

ドゥホブネ財務相は4日、ワシントンでIMF高官と会い、6月に合意した融資実行を加速させるために協議する。

またドゥホブネ氏は、今年のアルゼンチン経済は予想されていた1%のマイナス成長を上回る悪化になるとの見通しを示した。

政府はこのほか、子ども向け福祉など社会保障制度の強化、閣僚ポストの縮小(現行の19から10に)、インフラ開発向けの来年度歳出を27%減らす方針を示した。

ドゥホブネ氏によると、こうした措置で基礎的財政収支(プライマリーバランス)対GDP比1%の黒字化が2020年度までに実現できるという。

あるトレーダーは、新たな財政目標の実現に懐疑的な見方を示したほか、アナリストの反応もまちまち。予想より小規模だったとの声や、来年に政治的混乱が拡大するとの懸念もある。

ただ、EFトムセンのフェデリコ・トムセン氏は「こうした数字を悲観的に見てもデフォルト(債務不履行)についての話はばかげている」と述べた。