新興国に広がるIMF離れ 米国に不信感、強まる中国依存
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中国は、自らの経済活動に有利な国際秩序あるいは国際的なルールを、自らデザインし実装するために、新興国および発展途上国の支持を得ようとしてきました。
中国が、発展途上国の支持を得るために用いているのが、経済的支援であり投資です。中国は、米国が主導するIMFなどの枠組みと異なり、支援を受ける国の財政再建、自由市場化、さらには人権問題等の国内問題改善を求めず、経済支援を行います。
そのため、「改革を欧米先進諸国に強制される」ことを嫌う新興国や発展途上国は、中国の支援を歓迎しがちですが、東南アジアや南アジアの一部国家では、中国に過度に依存することへの警戒感が高まっています。
中国の経済支援や投資を用いた、新興国や発展途上国の支持獲得には、うまくいっているものとうまくいっていないものがあります。一方的に中国が勢力を拡大しているというのはイメージだということです。
ただ、トランプ政権の国際的経済枠組みに対する態度が、中国の存在感を高めているのは否めません。
中国は、自由貿易の旗手であるかのように振る舞い始めていますが、中国がデザインしようとする「自由貿易」が、どのようなルールに基づくものなのかは、まだ明らかになっていません。中国がどのようなルールを構築しようとしているのか、慎重に見極める必要があります。
中国は、新興国や発展途上国が求める支援を提示して歓迎されていますが、その支持獲得のための経済活動が功を奏するかどうかは、中国の支援が、本当に受け入れ国にとって利益になるものなのかどうかにかかっています。
日本は、現在の国際的なルールを守ろうとするのであれば、そのルールに則ることが、結果として利益になることを、自らの経済活動を通じて、新興国や発展途上国に理解してもらう必要があるのです。中国が自らを中心とする国際秩序を作りたいと思うのはある意味仕方がないのですが、ではその秩序がどういうものなのか、ルールを示せと言っても中国は馬耳東風の態度です。
中国外交の基本は、中国が考える国家発展の概念に基づく2国間の利害バランスでしょう。これは普遍的なルールにはなりにくいものですから、それを示せと言っても無理なのではないでしょうか。「米国に不信感」は必然。米国が第2次世界大戦後作り上げてきた自由貿易や国際金融システムがほころんできて、それを抜本的に変えようというのがトランプ政権のベクトル。