【朝倉祐介】割を食うのは若い人。企業を蝕む「PL脳」とは何か

2018/7/30
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第149回(全5回)は、ミクシィを再建したことでも知られる、シニフィアン株式会社共同代表、政策研究大学院大学客員研究員の朝倉祐介氏が登場する。
なぜ、日本からはアマゾンのように巨大に成長する企業が出てこないのか──。
そんな問題意識から朝倉氏が今月出版した『ファイナンス思考──日本企業を蝕む病と、再生の戦略論』(ダイヤモンド社)が、発売1週間で5刷4万部を突破。注目を集めている。
本書で朝倉氏は、スタートアップも含め、日本の企業が長らく停滞してしまっている理由を「PL脳」という症状で説明する。
「売上を増やせ、利益は減らすな。黒字だから問題ない。無借金だから健全経営だ……。そんな言葉が会社に溢れていたら、『PL脳』に侵されているかもしれません」
朝倉氏が語る「PL脳」とは、損益計算書(PL)の売上や利益という目先の数字にとらわれ、将来や未来といった発想が欠如している思考パターンのことだ。
そして、朝倉氏は「PL脳」とは対極に位置する、将来の成長を描いて意思決定する頭の使い方である「ファイナンス思考」を処方箋として提示。
「経営者や起業を志す人だけでなく、すべてのビジネスパーソンが『ファイナンス思考』を身につけられたら、それは未来を生き抜く武器になる」と強調する。
久しく日本企業が停滞する要因となっている「PL脳」、そしてアマゾンのようにスケールするために欠かせない「ファイナンス思考」とは、どのようなものなのか──。
前半2回は朝倉氏によるファイナンス知識の入門も含めた解説編を、後半3回は本書をともに構想、シニフィアンを一緒に立ち上げた元ゴールドマン・サックスの村上誠典氏と元ディー・エヌ・エー取締役の小林賢治氏による鼎談をお届けする。

PL脳とは何か