【真山 仁】「エンタメの中でジャーナリズム」をやらなければダメ

2018/10/2

小説家になる堅い決意

実際に「小説家になる」と進路を決めたのは、高校生のときでした。
『アルセーヌ・ルパン』シリーズから始まって、アガサ・クリスティ、フレデリック・フォーサイス、ブライアン・フリーマントル、ジョン・ル・カレなどを読み進めるうちに、自分の中でどんどん小説の持つ可能性が大きくなっていくのを感じました。
高校時代の真山氏(左から2番目)
どのような職業に就いたとしても、しょせん、1人の力には限界がある。でも、小説なら多くの人に影響を与えることができる。小説を通じてであれば、場所や時間、人種を超えて感じたり考えたりすることができる。
この小説の魅力が私の中でどんどん大きくなっていきました。
自分がしようとしていることは、ジャーナリズムだと思うようにもなりました。それと同時に、ジャーナリズムの限界も感じていました。
ジャーナリズムというのは、どんなに素晴らしい記事を書いても、もともと問題意識のある人にしか届かないから、広がらない。エンターテインメントの中でジャーナリズムをやらなければダメだと思いました。