[ブリュッセル 9日 ロイター] - ドイツの自動車大手BMW<BMWG.DE>とダイムラー<DAIGn.DE>、通信大手ドイツテレコム<DTEGn.DE>、スウェーデンの通信機器大手エリクソン<ERICb.ST>は欧州委員会に対し、第5世代移動通信システム(5G)を用いた自動車用無線通信技術セルラーV2X(C─V2X)を支持するように要請している。欧州連合(EU)で5Gのネットワーク構築が速やかに進むとの主張だ。

欧州委はコネクテッドカー(常時ネットにつながる車)に関する規制を策定する方針。同市場は何十億ユーロもの規模に拡大することが見込まれており、通信会社や機器メーカーにとって新たな収益源になるとみられる。

BMWなどによると、携帯電話の通信網を通してほかの機器とつながるC─V2X技術は、公衆無線LAN「Wi―Fi」を利用する競合のITS─G5技術よりも優れており、世界市場において競争力があるという。

欧州委のユンケル委員長宛ての書簡では、ITS─G5が「名前とは裏腹に、5G技術とは関係ない。5Gとの適合性を踏まえると進化的な道筋ではない」と指摘したほか、「協調型高度道路交通システムの強力な候補としてC─V2Xが浮上している中国や米国など世界各国と比べ、欧州は経済的に不利な立場に置かれることとなる」と警告した。

書簡に署名した企業には米自動車大手のフォード・モーター<F.N>とフランスの同業PSAグループ<PEUP.PA>、上海汽車集団(SAICモーター)<600104.SS>、中国の通信ネットワーク機器大手、華為技術(ファーウェイ)、フィンランドの同業ノキア<NOKIA.HE>、米半導体大手のインテル<INTC.O>、同クアルコム<QCOM.O>、スペイン通信大手テレフォニカ<TEF.MC>、韓国のサムスン電子<005930.KS>、英携帯電話サービス大手のボーダフォン<VOD.L>などが含まれる。

欧州委員会は書簡の受理を確認した。年末までに法案を出す計画で、国境を超えた通商強化に向けて5Gを利用したい意向だ。