【鈴木絵里子】ポスト資本主義に必要な「3つのC」と「OODA」

2018/6/29
外資系投資銀行からベンチャー投資の道へ転身してきたミスルトウ投資部ディレクター兼フレスコ・キャピタルパートナーの鈴木絵里子氏。
ベンチャー投資を通して世界中のスタートアップ企業を見てきたからこそ、今こそ時代の大きな転換期にあると考える。
「一部のスタートアップ企業が既に実践しているように、これからは生き方が働き方になる時代です」
鈴木氏に、その思いを語ってもらった。

お金の重要性が薄れてきている

──世界中のスタートアップを見てきた鈴木さんは、スタートアップを取り巻く環境はどのように変化していると感じていますか。
元々金融業界にいたからこそ、特に感じていることかもしれませんが、いまは金銭をインセンティブに起業する人が減り「社会の課題を解決したい、世の中をよくしたい」という思いを一番大切にしている方が増えてきています。
特にミレニアル世代(一般的に1981~1996年の間に生まれた人を指す)でこの傾向は顕著です。
この20~30年間を見ても、GAFAに代表されるIT会社が勃興し、世界中からチャンスを求めて多くの人材がシリコンバレーに飛び込みスタートアップを立ち上げました。
ただ、元々スタートアップは、実質的には200年前から変わらない既存のエコシステムの中で動いているとも言えます。
起業するといった新しい挑戦は、失敗する確率も高いため、成功した企業が他の企業の失敗を回収するくらいの大きな成長とリターンを生み出さなくてはいけません。
そのため、スタートアップは「短期間で急成長して、リターンを埋めるビジネスを作り出さなくてはいけない」という強いプレッシャーと戦っていました。
このような流れの中、従来の起業家は「事業を拡大し、IPOを目指して巨額の富を得る」という目標がモチベーションになっていました。