(ブルームバーグ): 米ゼロックスのジョン・ビセンティン最高経営責任者(CEO)は富士フイルムホールディングスに対し、合弁会社富士ゼロックスの契約を2021年に更新する計画を強く否定し、買収交渉を再開しようとする富士フイルム側の動きを批判した。

ビセンティン氏は富士フイルムの古森重隆会長に宛てた25日付の書簡で、富士フイルムによる提訴は「経営統合を頓挫させまいと捨て身で交渉に誘い出そうとしているが、誤った策略でしかない」と批判。経営統合をニューヨーク州地裁判事が差し止めたのは「貴社の不正な行為」が原因だとして、富士フイルムの会計問題がゼロックスとの合意を完了不能にしたと述べた。ゼロックスの株主であるカール・アイカーン、ダーウィン・ディーソン両氏は富士フイルムによる買収阻止を求めて2月に同地裁に提訴、暫定差し止めの仮処分を獲得している。

ビセンティン氏はさらに、アジア・太平洋地域の顧客に直接販売することを視野に、ゼロックスは富士ゼロックス以外のサプライヤーからの部材購入を始める計画だと表明した。

これに対し富士フイルムは発表文で、ゼロックスが正当な理由なく合意を破棄したと批判。富士フイルムの会計問題が契約の解消につながったとするビセンティン氏の主張は「正しくない」と一蹴した。

ビセンティン氏の書簡は富士フイルムによる買収阻止を求めてアイカーン、ディーソン両氏が提訴した際の主張に同調する内容。ディーソン氏は裁判で、ゼロックスのジェフリー・ジェイコブソン前CEOが株主を犠牲にして自身の職を守るため、合意をまとめる権限なしに行動したと主張していた。ジェイコブソン氏とゼロックスは裁判でこの主張に反論している。

原題:New Xerox CEO Calls Fujifilm Moves to Renew Talks Delusional (1)(抜粋)

(富士フイルムの見解を追加して更新します.)

--取材協力:Scott Deveau、Christie Smythe、Bob Van Voris、高橋舞子.

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