【5案件採用】丸紅社員がプロボノで参加します

2018/6/29
「ビジネスにおけるノウハウや推進力の不足から、解決できていない課題やビジネスアイデア」と聞いて、ピンとくる人はいないだろうか。

丸紅従業員組合は、社内外から解決したい社会課題や形にしたいビジネスアイデアを公募し、その実現に向けて、総合商社の知見を生かした従業員主導型のU-35プロジェクトを発足させた。さまざまな課題に首を突っ込み、一緒に解決に導きたいとしている。会社としてではなく、従業員主体の自主プロジェクトである点が特徴だ。

そもそも、なぜ丸紅従業員組合がこのような取り組みを始めたのだろうか。プロジェクトの概要と募集したいアイデアについて、丸紅従業員組合の植松慶太氏に話を聞いた。また、後半では、このプロジェクトの前段となり、発足を後押しした、プロバスケットボールチーム・レバンガ北海道との事例をご紹介する。

内発的動機づけを目指し、従業員組合が立ち上がる

丸紅従業員組合は今年、商品別組織に縛られない自由な発想で、さまざまなビジネスや社会課題を解決するためのプロシェクト、「U-35プロジェクト」を発足させた。
具体的には、ノウハウや推進力の不足から、課題を解決できずにいる地方自治体、大学、一般企業、スタートアップ、NPOから社会課題やビジネスアイデアを公募。総合商社人材のビジネスノウハウを「プロボノ」で提供し、課題解決に導く取り組みだ。
これを通じて、若手中堅社員の内発的動機を刺激し、さらなる仕事のやりがいと楽しさを提供できないかと考えている。
「従業員組合といえば、かつては賃上げや労働条件の向上がメイントピックでしたが、社員アンケートを取ると、従業員の多くがやりがいや生きがいを求めているなど、個人の価値観に根ざした課題が明確に出始めていました。そこで、従業員の思いやアイデアを主体的に形にしていくプロセスをサポートすべく、U-35プロジェクト立ち上げの準備を進めました。」(植松)
この準備の過程で、オフィシャルに立ち上げる前段として試験的に実施したのが、プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」のプロジェクトだった。
「組合の活動予算で何か取り組めないだろうかと話をしていたとき、手を挙げたのが菅井という社員でした。彼女はプロバスケットボールチーム・レバンガ北海道の大ファンで、個人的に支援をしていたのですが、個人でやるには限界を感じていたんですね。それならボランティアで経営支援をやってみようと、私もレバンガ北海道に会いに行き、組合の取り組みとして始めることにしたのです。」(植松)
(写真左:レバンガ北海道の運営会社、北海道バスケットボールクラブCEO 横田陽氏)
話を聞くと、直近の課題は人事制度や新たなスポンサー獲得の仕組み構築など、総合商社のフォーマットを使えば解決できるものが多かったという。
もともとバックオフィスや経営人材を採用していなかったレバンガにとって、従業員組合がサポートするのはラッキーだった。外部経営企画室のような動きをする菅井氏と一緒に、より大きな夢を実現すべく、プロジェクトを進めているそうだ。
ほかにも、慶應義塾大学発のベンチャーキャピタル「慶應イノベーション・イニシアティブ」が投資している、ウェアラブルデバイスを開発するBONXの例もある。
同社の製品は非常に人気があり、全世界に向けて販売を開始したものの、グローバルサプライチェーンマネジメントにおける悩みがあった。
そこで、総合商社の知見を提供し、サプライチェーンをいかに最適化するかのワークショップを実施。すると、その効果は思わぬ波及効果を呼ぶ。
ワークショップに参加した従業員が、ウェアラブルデバイスを使った新たなビジネスモデルの構築を検討するようになったという。

形にしたい思いを、公募にぶつけてほしい

レバンガ北海道との取り組みなど、やりたいこと・解決したい課題を無報酬で始めたことで、おもしろいように新しい気付きや発想が生まれるという原体験を得た丸紅従業員組合。これからU-35プロジェクトを本格始動する。
公募したいのは、総合商社の知見やネットワークを活用すれば解決できそうな社会課題や、シナジーを生みそうなビジネスアイデアだ。
先端テクノロジーを持っているけれど、どうビジネスに生かせばいいか悩んでいる大学の研究室や、民間と一緒に地域を活性化させたい地方自治体、生まれたてのスタートアップなど、丸紅の知見を生かせば可能性を見いだせるものすべてが対象となる。
「大小に関係なく、解決したいと思う課題や、おもしろそうなアイデアをプロジェクト化したいと考えています。このプロジェクトは無償なので、入り口で明確な収益モデルなど見えなくてもいいと思っています。社内横断的なソリューションが求められる課題や、社会的インパクトが大きそうなものを選び、それに取り組む過程で、いずれ丸紅としてのビジネス機会が創り出せればいいなと思っています」(植松)
丸紅従業員組合による従業員主導型のU-35プロジェクト。一緒に解決したい課題がある人は、個人・団体・企業など所属は問わないので、ぜひこのプロボノベースのビジネス相談室に応募してみてはいかがだろうか。
次に、プロジェクトの前段となったレバンガ北海道との取り組み事例について紹介する。
横田:私は北海道を拠点としたプロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」の運営会社である、北海道バスケットボールクラブのCEOを務めています。クラブは7年もの赤字体質からなんとか抜け出し、ようやく成長期に入ろうとしていました。
これまでスポ根論(笑)で走り続けてきた私たちですが、改めて就業規則などのルールや仕組みを整備していこうと社労士さんなどに相談し動き始めたころ、ホームページに一通の問い合わせメールが届きました。
「私はレバンガの大ファンです。何ができるかは分かりませんが、私が勤める会社でレバンガの力になれることはないでしょうか」と。かなり唐突で驚きましたが、何度かのメールのやり取りを経て、お会いしてみることにしたんです。
正直、何を目的にどんな人が会いに来るのか不安でしたが、お会いしてレバンガのファンになった理由を聞くと、試合を見て救われたから恩返しをしたいという純粋な気持ちでした。
菅井:当時、仕事で悩んでおり、精神的にも限界でした。そんなとき、偶然見たのがレバンガの試合でした。試合で真剣にプレーする選手たちに、心からの元気と感動をもらって、悩むより前に進もうと立ち直ることができたんです。だからどうしてもレバンガには恩返しをしたいと思いました。
ファンクラブに入り、グッズを買い、持ち株会に入ってボーナスをつぎ込んだけれど(笑)、個人でできることには限界があります。そこで、丸紅の力を使えないかと考え、直接ホームページから問い合わせました。これは完全に、業務を離れた個人的な活動でした。
横田:菅井さんの思いを受けて、「ぜひ一緒に何かやりましょう」という話になったのが、2017年の4月ごろでした。我々としても丸紅さんが力になってくれることで、抱えている課題の解決につながるなら、ありがたいと思いました。
菅井:その後、同じ部署内に新電力を扱うチームがいたので、そこに掛け合い、電気料金の支払いを通じてレバンガ北海道を応援する電力プラン「レバンガプラン」を立ち上げました。
(写真右:丸紅 国内電力プロジェクト部 電源開発第二チーム チーム長補佐 菅井幸来)
ただ、活動を続けるうちに、「もっとさまざまな分野で協業できるのではないか」「もっと統合的に関われないか」と考えるように。
とはいえ、社内にそのような枠組みはないので、どうすればいいのか悩んでいたときに、従業員組合で「ユニノベーション部会」というのが発足し、ビジネスシードの発掘に活動資金をつけてもらえることになったのです。
私はすぐさま手を挙げ、レバンガプロジェクトは組合活動として認められました。しかも、従業員組合のネットワークにより共感してくれた他部門の人たちが仲間になってくれて、本格的に取り組みを推進できることになったのです。
今は、労務管理などバックオフィス体制をサポートしながら、これから実現させようとしているビッグプロジェクトの準備を始めているところです。
横田:菅井さんには、何かあったらまず相談してほしいと言われているので、お言葉に甘えて「こんなことできないかな」と思えばすぐに連絡しています。すると何かしらのヒントを得られるんですよね。
自分たちにはなかった見方やノウハウで、事業の幅を広げられるのは、本当にうれしいです。
レバンガは、人の生活の一部になるような、感動と元気を与えられるようなチームになることを目指しています。U-35プロジェクトを通じ一緒に新しい取り組みをしながら、特に今進めているビッグプロジェクトはぜひ形にして、北海道を盛り上げたいと思っています。
菅井:総合商社には、不動産やインフラ、流通、食品など豊富な業種ラインアップがありますし、財務や経理などバックオフィスも充実しています。さらに、取引先などステークホルダーも多いため、シナジーはもっと生めると思っています。
現在は、レバンガの課題を聞いて、外部経営企画室のような立場でサポートすべく活動していますが、その中からビジネスにつながるものを拾って可能性を広げ、最終的にはスポーツをビジネスの面から盛り上げられたらおもしろいと思っています。
(取材・文:田村朋美、写真:岡村大輔、イラスト:砂田優花)
【ビジネスアイデア・社会課題を公募】
商社人材の知見 ネットワークを活用して解決したい社会課題やシナジーを生み出しそうなビジネスアイデアを募集します。

応募の流れは以下のようになります。

1、応募フォームに必要事項を入力
2、丸紅従業員組合にて内容を確認、審査プロセス
3、通過案件→書類提出
(A4一枚からお持ちの資料まで、形態はお任せします)
4、場合によっては電話ヒアリング後、面談
(課題設定のすり合わせを行います)
5、案件採択、プロジェクトスタート

※ご質問、不明点がございましたらこちらまでご連絡ください。
丸紅従業員組合
tokb11a@marubeni.com