【中国】アリババ・テンセントが見据える世界戦略

2018/6/26
札束で殴り合う両者の投資状況
──中国といえばアリババとテンセントのイメージが強いですが、2社の最近の動きについてはいかがでしょうか?
金田 アリババとテンセントは、どちらもビジネスモデルの異なる小売企業への投資を加速させています。
テンセントに関しては、去年の12月からほぼ投資しか行っていません。直近4ヵ月の間に「永輝」、「カルフール」、「ブーブーガオ(歩歩高)」といったスーパーや、広東省のショッピングモール「ティエンホン(天虹商场)」などに投資を行い、戦略提携しています。
アリババもここ3カ月くらいで、おそらく2兆円ほどのお金を使ってカウンターアタックしています。まさに、「札束の殴り合い」ですね。伝統的な小売業態を内包し、さらに自分たちでも新しい小売フォーマットを作っているので、本当に全面戦争のような状態になっているのです。
金田修(かねだ・おさむ)/東京大学経済学部、ロチェスター大学MBA(αβγ表彰)、北京大学EMBA卒。財務省、マッキンゼーを経てアジア太平洋地域の流通オペレーションプラクティスの代表を務める。2011年に「游仁堂」を設立。
──他には、どのような形態の小売に投資をしているのですか?
金田 大きく分けて4つの形態に分けられます。まず先ほど挙げた既存のスーパーやハイパーマーケット業態。
次に生鮮以外の商品をやり取りしているBtoBのプレーヤー。そして、いわゆる“OMO”と呼ばれている体験型のチェーンストア。最後が無人小売ですね。
無人小売の中には「無人コンビニ」もありますし、コーヒーや家電の無人小売、牛丼やココナツジュースの自販機など、扱う商品はさまざまです。
──日本では、自販機が普及していますが、中国だと「これから」といった扱いになるのですね。
金田 これまでは盗難リスクがあるため、普及しづらい状況でした。例えばアメリカでは、治安が悪い場所だと自販機が壊されてしまうので、設置場所がすごく限られていますよね。
中国も全く同じ理由で設置が少なかったのですが、基本的にもう現金決済がなくなってきているので、盗難リスクが低下し、設置台数が増えています。ビジネスとして、絶対に成長していくはずです。
日常に溶け込む「WeChat Pay」
家田昇悟(いえだ・しょうご)/メルペイ マーケティンググループ 中国インターネット研究所所長。大学在学中から、中国のインターネットの動向を追い続け、FBグループやブログで最新情報を発信。大学卒業後メルカリに入社。ID連携や振込機能改善のプロジェクトに従事後、中国での調査活動を経て、メルペイのマーケティングを担当。
──「小売」の話をする上で決済サービスの動向も欠かせません。「Alipay」と「WeChat Pay」が2強として話題になりますが、今後どちらが市場をとっていくと思いますか?