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2018/8/14

吉本は疑似家族

いま僕は吉本の定年制度を廃止しようと思っています。
かつては、「お笑いには若いセンスがいちばん大事だ」と思っていた時期もありました。お客さんと芸人が同じ時代の空気を吸っていることが、最も重要だと信じていたのです。
たとえば子どものときに同じアニメを見ていたからこそ、通じるネタというものもある。だから同世代の感覚が一番だという考えだったのです。
しかし世の中の流れは変わりつつあります。お笑いの役目も、ただ爆笑させるだけが能ではないのではないか。
それほど面白くなくても、人を笑顔にするとか、心と心をつなぐための笑いもあっていい。それが社会課題の解決の入り口になることがあるかもしれない。
年齢を重ねたら重ねたなりのお笑いもあるし、社会への貢献の仕方もある。だから定年なしでいいんじゃないかと思うのです。
もともと芸能の世界は、行く場所のない人たちが集まっているところだという一面があります。だから疑似家族としての吉本を作っておかないと、帰るところ、泣きつくところがない人たちが生まれてしまう。
僕も将来は温泉劇場みたいな小屋を作って、そこで下足番でもしながら生きていきたいなと思うことがあります。
そういうわけで定年廃止を会議で提案したのですが、僕と同期の田中くんという副社長に「いや、定年がないと困る」と反対されてしまった。
それで譲歩して、「じゃあ75歳」と言ったら、「いや、75歳も年齢が上すぎる」と反対されて、今は70歳が定年になっています。
でもその田中くんが最近、「大﨑くんの言うのが正解やな。定年なしのほうがええかなあ」と言い出しました。
「だから俺は最初から言ってるやんけ」
そういうわけで、定年は廃止になるかもしれません。
やはり年をくってくると、同じ年格好の人と話をするのがラクだし、楽しみになる。そんなとき昔からよく知っている芸人さんが現役で活躍していれば、何回となく聞いたギャグでも、うれしく感じるのではないでしょうか。