【夏野剛】「5Gへの大きな誤解」と「テレビ業界の危機」

2018/6/19
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第143回(全3回)は、インターネットの未来が携帯電話にあるといち早く見抜き、「iモード」を生み出した夏野剛氏が登場する。
通信システムは日進月歩の進化を遂げ、2020東京五輪を機に5G(第5世代移動通信システム)へと移行。この激動の時代に、夏野氏は再び「5Gでは『ネットリテラシー』という言葉がなくなる」と予見する。
果たして、その真意とは? さらに、夏野氏は「時代の潮流に対応しなければ、テレビ業界が消滅する」とも。近著『誰がテレビを殺すのか』で指摘するテレビの危機的状況から、トークは「日本企業が抱える致命的な“癌”とは何か?」へと展開していく。

5Gになっても大きな変化はない

──今年4月に行われたニコニコ超会議において、落合陽一氏が「5Gで自動運転や自動農業が可能になる」といったポジティブな未来を提示したことに対し、「落合君にしては珍しくフツーなことを言ってるね」と苦言を呈しましたが、まずはその理由をお聞かせください。