【5分で名著】人類史を通じて経済を俯瞰する『サピエンス全史』

2018/5/29
今年は、リーマンショックから10年──。
世界を襲った未曾有の金融危機の後、世界の中央銀行は、大規模な金融緩和を行い、今の世界経済は「ゴルディロックス(適温)」状態と言われるまで回復している。
その一方で、ここ30年の金融危機を振り返ると、ほぼ10年ごとに「ショック」が起こっている。2008年のリーマンショック、1998年のアジア通貨危機、1987年のブラックマンデーなどがそれだ。
リーマンショックから10年がたった今、世界経済は、このまま「適温状態」を続けられるのか。それとも、また10年ごとに危機を起こしてしまうのか。そもそも、私たちが生きる資本主義経済はいま、どこへ向かっているのだろうか──。
そんな問題意識を持っているのが、新進気鋭の経済学者、安田洋祐・大阪大学大学院准教授。
そこで安田准教授に、主流派経済学の考え方とは違う視点で、「現実世界」を理解するヒントになる3冊の「必読書」を選んでもらった。
紹介する3冊を通じて、今の主流派経済学もまだ解決できていない、資本主義や金融の問題点、そしてその解決方法について、3回の連載で迫っていく。
安田洋祐・大阪大学大学院准教授

世界で500万部のベストセラー

1冊目に紹介する本は、『サピエンス全史』です。今、全世界で500万部を突破するベストセラー本で、日本語版は上・下巻あり、本屋でも平積みされているのを見かけた人も多いと思います。
空白が少なく、文字も小さいので、一見すると読みづらそうですが、その内容は独創的で、一気に読み進めてしまいます。