【水野祐】「ルールメイキング思考」が欠如する日本人

2018/5/12
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第136回(全2回)は、「法を駆使してイノベーションを最大化する」ことをテーマに掲げる水野祐弁護士が登場する。

日本の法規制は本当に厳しいのか

「日本から新しいものや新しいビジネスがなかなか生まれてこない」という閉塞感を感じている人は少なくないと思います。
その原因として法規制のカベが挙げられることが多く、「欧米は法規制が緩いのに対し、日本は法規制がガチガチに固まっているので新しいビジネスがやりにくい」という話が、まことしやかに語られています。
もちろん欧米の方が緩いルールを持っている法規制もありますが、法律のプロから見ると、むしろ欧米のほうが日本よりも厳しい法規制となっている分野もあります。例えば、個人情報・プライバシー保護や人工知能などの分野はそのように言えます。
どちらが厳しいとか緩いとは一概に言えませんし、本当にビジネスが法規制に阻まれている場面はそう多くはないように思うんです。
水野祐 / みずの・たすく
弁護士(シティライツ法律事務所)。IT、クリエイティブ、まちづくり等の先端・戦略法務に従事しつつ、行政や自治体の委員、アドバイザー等も務めている。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(リーガルデザイン・ラボ)。Creative Commons Japan理事。Arts and Law理事。グッドデザイン賞審査員。著作に『法のデザイン −創造性とイノベーションは法によって加速する』(フィルムアート)、『オープンデザイン参加と共創から生まれる「つくりかたの未来」』(オライリー・ジャパン、共同翻訳・執筆)など。